SideJ

僕は男でも男が好きだから女の子にモテても意味なかった。

けど、男にもモテた僕は嬉しかったけど、僕にはずっと好きな人がいる。

「潤くん、大丈夫?

「何が?」

「つきまといとか・・・」

かず・・・

心配してくれてるの?

「ふふっ、ありがと」

まぁ、追っかけはあると言えばあるからね。

「潤くんが心配なだけだよ」

そう言ってほんと心配そうな顔をする。

「大丈夫だからね?」

ずーっと好きなの。
幼稚園から一緒で高校も一緒。

小学校の時に好きになり、そこからずっと片想い。

でも、大学は違った。

かずは医者になりたくて大学に行った。

僕は看護師になりたくて専門学校に行った。

看護師になるって大変だけどかずが医者になるなら僕はかずを支えたいと思った。

必死に勉強して看護師にはなったけど、男の看護師は僕しかいなくて看護師にも医者にも睨まれる。

なんで・・・?

看護師は女性しかなっちゃいけない職業?

そんなことは無いでしょ?

でも、確かにね?
狙われないように目線を合わせないもん。

だから、嫌なのかな。

看護師って忙しくて毎日大変。

だからかずに会う暇もなくて・・・

そして、かずがお医者さんになった時は嬉しかったし同じ病院だから嬉しかった。

「潤くん」

「何?」

「大丈夫?」

「うん」

僕が疲れてそうな顔をしていたからかな。

でもね、最初は一緒のオペ出来たりとかしてたけどだんだんかずのオペの速さや説明の仕方とか信頼してる人が多くて僕と離れちゃったりする。

寂しい・・・。
けど、頑張ってるかずを応援したい。

そんなふうに思いながら毎日頑張った。

けど、限界が来た・・・

かずが医院長さんの娘さんと結婚することになったの。

嘘でしょ?って思ったけどかずの口から聞いたからショックだった・・・。

なんだ・・・

かずは僕のこと好きじゃないんだって改めて分かった。

じゃあ、なんのために?

僕はなんのために働いてるんだろ・・・

でも、患者さんがね?

優しいの。

その優しさは僕の心を温めてくれる。

だから僕は患者さんの笑顔を見れるように頑張ると決めた。

そんな時、入院してきたのは僕のお兄ちゃんだった。

「潤、頑張れてる?」

「大丈夫だよ」

「そっか」

お兄ちゃんは安心したような顔をした。

僕のお兄ちゃんの担当はこの病院じゃかずと同じぐらい有名な櫻井先生。

櫻井先生の優しさとカッコ良さは看護師にも人気なの。

「兄弟なの?」

「そうですけど」

そう言えば

「尚更助けないとな」

「え?」

どうして? 

「知ってるよ? いつも患者さんからよく聞くからね、一つ一つ丁寧に聞いてくれるって」

分かってくれる人がいたんだ・・・

「何かあったら俺に言って? そこらへんの医師と同じにするなよ?」

そう言って僕の髪の毛を撫でた。

先生はお兄ちゃんの診察をして

「大野さん、必ず治ります」


そう言って大野さんの手をギュッと握った。

手術は午後からで・・・
毎日診察じゃなくても来てくれるらしく凄いと思う。


午後になって先生のオペを間近で見てかずと同じぐらい早くて綺麗な手術だった。
 
手術が終わり片付けてお兄ちゃんのところへ向かえば先生がいた。

「やっぱり仕事出来てる、患者さんは嘘をつかない、良ければ俺専用にして欲しいぐらいだよ」

そう言ってニッコリと笑った。

僕は色んな人に救われる。

でも、今、1番救われてるのは櫻井先生の笑顔かなと思った。

大丈夫、僕はやれる。

かずのことは吹っ切れてない。

かずに会う度にダメなのにドキドキしちゃう。

多少は話すけど以前よりも話さなくっちゃって辛い。

それでも櫻井先生と会うとホッとする。

たまに髪の毛撫でてくれるのが気持ちいい。

かずと違って患者さんとお話をするの。

症状だけじゃなくて日常なことでも些細な事でも。
 
どうして医者がそこまでするのかと思って聞いてみたら

「ここに入院する人は不安なんだ、その不安を取り除いたり、ヒントを得たり、笑顔を貰ったりする、松本くんの日頃を観察してるとなんか俺も見習う必要があると思って」

そう言っていた。

僕から?

看護師から学ぶなんて・・・

よりによって僕なんて・・・

思わず目線を合わせてしまった。


すると先生は

「やっと目が合った」

そう言ってニッコリ笑った。