SideJ
 
絶対に有り得ない話。
だけど、この世界にはおかしくない話。
なんでもありな国なの。

最初は何となく踏み入れた町なんだけど子供の僕にはそこがとても好きな場所だった。

だから、何度も足を運んで色んな人と仲良くなった。 

でも、ある日から両親が探しに来なくなった。
というより僕は懐きすぎてこの町の人となってしまったから二度と会えることなんてなかった。

その時はまだ中学上がる前だったから分からなくて寂しくもあった。

でも、この町の人達はみんな優しくてみんな大切な人へとなっていく。

おもちゃが動いたり喋ったり。
でも、これはちょっといけないと。
だって、死んだ人間の魂が宿ってるから。
つまり、動く原因はその人間がまだ生きたいという思いから成り立つシステム。

おもちゃとして生きることはどうなんだろう。

でも、僕のお友達は

「大丈夫、ここはおとぎの国の町だからなんだってありなんだよ」

カズくんは元々は僕と同じように別の場所から来た人らしい。

「その人が幸せならそれでいい、無理に働かせることもしてないしね」

「それに、人間の魂が宿ってるのはおもちゃだけじゃない

「え?」

どういうこと?
魂が宿ってるっておもちゃ以外にもあるの?

「んふふ、知りたいの?君たちは」

これはこれはこの国の王子。
誰もが憧れる王子様だ。

「うん」

「良いでしょう、でも、実際ことを言うと伝説なんだけど・・・」

「けど?」

「君は何か惹かれるような物を持っているからその伝説は君の手によって実現するかも」

僕の手で?

それが1年後。

そこから毎日智様から頂いた大切な刀で大切な人を守る為に日々稽古をしていた。

その2年後・・・

僕はいつも通り今日も頑張っていたけど、

「頑張りすぎじゃない?」

え? 誰なんだろう。
僕は辺りを見回したけどここは僕一人だった。
じゃあ、疲れてるのかなと思って僕はお部屋に戻り刀を傍において寝始めた。

起きて刀に触れた途端

「ここだよ?」

え? ここって? すると、刀から僕じゃない顔が写った。

「え? なんで?」

「んー、潤が頑張ったからじゃないのか?」

「そうなの?」

「俺は潤の頑張りを感じてたよ? みんなこの刀を持とうとしないんだ」

少し寂しそうな声が聞こえた。
この刀に何か特別なことでも?

「この刀は愛する人を守った刀だ、だけど、大切な人まで切ってしまうほどの威力なんだ」

え~、そんなに強い刀なの?
僕は刀については詳しくは知らないから。


「でも、扱いになれればそんなことは無い、何がいけなかったか、それはこの刀をどれだけ好きかなんだと思う」

刀が好き・・・?
でも、僕にとってはこれがお守りなんだよね。

「大切だとは思ってるよ?」

そう言えば

「良かった、なら暴れないよ、潤の願いを叶えてくれる最高の刀になるさ」

そうなの?
なら、お友達を守れるよね。
沢山守られてきたんだもん、今度は僕が守ってあげる番。

でも、貴方との関係が少しづつ変わっていった
刀としてじゃなく人間としてなれるようになった頃、貴方は美しかった。

「どうした?」

「ほんと不思議だね?」

そう言えば

「だな、あの王子でさえ俺を呼び起こすのは無理だったからな」

え? 智様が? 使ったことがあるんだ。

「そう言えばお名前どうしよ」

そう言うと

「それは潤が決めればいいよ、俺は潤によって人間になれたんだし」

「じゃあ、しょおくんね?」

「いいよ、でも、このことは秘密な?」

「うん」

ふふっ、伝説を実現しちゃったみたいだけど、それを見せびらかしたらきっとしょおくんは出にくくなってしまうと思うんだ。

「でも、もう一つだけ約束な?」

「何?」

「俺がいなくなる時は基本潤の気持ちが変わったらだ」

あー、何となく分かった。
しょおくんとの約束は全て信頼関係で成り立ってる。

僕が18になる頃に智様のお守り役になった。

「んふふ、潤は慣れてきた?」

「うん、そうだね、もう寂しくもないし」

「そっか、俺さ潤が好きなんだけど」

好きって? そういうことだよよね?

「ごめんなさい」

「誰か好きな人でもいるのか?」

「ふふっ、僕にはいないよ」

「んふふ、そっか」

僕は好きな人は出来ないと思う。
ん? 違う・・・。

僕の部屋には誰も入ってこない。
だから、しょおくんは気軽に人間になれる。

「どうしたの?」

しょおくんは心配そうに見つめてきた。

「なんでもないよ」

そう言うとしょおくんは僕のほっぺたを触って

「嘘つきだな~、手に取ってわかる」

「もぉ、僕の何が分かるの?」

そう言えばしょおくんは

「潤を見てれば嘘ついてることは分かる、そりゃ何に迷ってるかなんてわかんないけどさ焦ってんじゃないの?」

そう言って僕のことをじっと見つめた。

「焦ってる?」

「ごめん、それはオレだな」

「え?」

「潤を守って潤の言葉を聞いて潤の傍で戦うことが俺の使命だけど、その使命は破ってしまうかも」

「え? ん・・・」

「遠い昔に愛してた人がいたんだ」

ん? それがキスしたのと関係があるの?

「潤と似てて優しくてカッコよくてさ最高な人だった」

「ふふっ、僕はカッコよくないでしょ」

「自分の魅力分からない人だな~、そこも変わらない、全部同じ」

「そうなの?」

「だけど、彼は彼女が出来たんだ」

間近で見てるしょおくんは辛ったんだよね?
僕だったら見てられないもん。

「しょおくん・・・」

しょおくんの気持ちが本気なんだ。
僕はしょおくんをもっともっと好きになればこの国が変わるかもしれない。

「もう1回キスして?」

「え?」

「ちゃんと僕を愛してよ? 僕はしょおくんを離すつもりないもん」

だって、1人はもう嫌だから。

「分かった、ずっと愛すよ」

僕の命は何時までかは分からないけどしょおくんと未来を見たいんだ。

今、あれから約10年。
愛したことは間違えじゃない、信頼してるからこそ深まっていった。
僕の刀には力が宿ると言われるようになった。
智様の言ってた伝説は間違ってはないけど、それを見れたのは僕だけ。

僕はこれからもずっとしょおくんを信じて沢山愛してもらうの。 

「潤・・・」

「しょおくん、ありがと」

今日もこの国の平和は守れた。
戦争をしたい訳では無いけど、なんでもありな国だから悪い人まで入ってきてしまう。
そういう人を追い出したり、時には殺したり。

「ふふっ、だいたい、手加減はしてあげてるけどな?」

「そうだったの?」

「ギリギリの命って奴、そこで生きるか死ぬかはその人の意志によって変わる」

なるほど・・・ちゃんとしょおくんは僕のこと分かってくれてる。 ほんとは、殺すことは苦手な僕。 でも、どうしても刀や銃で僕達を狙う人はそうするのがルールだから。

「潤、俺を信じてくれてありがとう」

「ふふっ、信じるのは当たり前だよ? 僕は助けられてるからね?」


だって、しょおくんがいるから僕は生きてられるんだもん。
そんな何でもありな国の生活から離れることは初めから入った時点で既に無理だった。