ほんと、料理作ってくれるのは有難いけど、なんか美味しさが足りないんだよね。
これならこれからは自分で作った方がいいのだろうか。

そんなことを考えながら今日も頑張らなきゃと思った。

「おはよう、昨日はありがとな」

「おはよう、俺の方こそありがとう」

「また、休み時間いってもいい?」

「どうぞ」

多分共学ならきっとキャーキャー言われてるだろう。

そう言えば翔さんって何の授業担当してるんだろう。

お昼前の休憩時間、和くんが来た。

「どうしたの?」

「智に殴られた」

「なんで?」

「好きな人いるのって聞いた」

それだけで殴られるとは・・・

「なんで聞いたの?」

そう聞けば
 
「智が好きなのって先生なの?」

え?僕? まぁ、確かに・・・。

「へぇー、まぁ、そうかもしれないね」

「やっぱり、先生はどうなの?」

僕は・・・

「んー、好きなのかは分からないかな、今は結婚してるし・・・」

そう言えば

「何で結婚したの?」

そう聞かれて本当の理由が言えるはずはないから・・・

「好きだからでしょ」

「じゃあ、先生は智のこと好きだったなの?」

「んー、好きだったなのかな、身体の関係だけだから何とも言えない」

「セフレってこと!?」

ビックリしたような表情で聞いてくる。

「俺の時は好きな人がいるとは言ってたからよく分からないけど」

そう言うと

「え? そうなの?」

これもまたビックリした表情。

「和くんはどうして聞いてくるのかな?」

「智がどうして殴ったのか分からない、いつもなら優しいのに・・・」

そんな話をしてると翔さんがこっちに来た。
ちょうどお昼休みになった。

「智はさ、触れたくない過去でもあるのかな?」

そう聞かれて僕はなんて答えたらいいのだろうか

「もしかして好きな人は身近なのかもね、和くんは? 好きな人いるの?」

「んー、分かんない」

でもさ、智が手を出すなんて・・・

「ふふっ、そっか、その件は後で聞いてみるからお昼食べなよね?」

「俺、弁当忘れた」

お弁当忘れちゃったの?
コンビニで余分に買ってきたから良かった。

「ここでもいいけど、優先してる約束が先だからね?」

するとチラリと和くんは翔さんを見て

「いいよ」

3人で食べることに。 
これからはやっぱりお弁当作ろうかなと思い始めた。

「なんで先生たちって男子校なの? どこでも選べそうじゃん」

そういう和くんこそ選べると思うけど

「んー、なんでと言われても」

「俺は高校は男子校だからかな」

え? 翔さん男子校なの?

「なんで? 男子校なの?」

「なんでと言われてもな・・・、男子だけの世界が悪くないって思ったからかな」

「僕も確かに男子校だったよ、でも、働く時はどこでも良かったけどね」

「へぇー、智の母校だから入った」

「そうなんだ、確かに学費は安くなるんだもんね」

お昼休みは終わり、翔さんと二人きりに。

「二宮とは親しそうだな」

「和くんは智の弟だから、智は大学の時の先輩」

「なるほどね、智くんは中学で一個上だったな」

「そうなんだ」

智は翔さんのことも知ってるんだね。

「潤って既に結婚してるのか、早いな」
 
「3年前にね・・・」

「俺もそろそろ結婚かな・・・」

「そうなんだ、好きなんだね」

なんだろう、チクッとする。

「好きじゃない、親のお見合いでそう決まるだけそん中でまぁまぁマシな人なだけ」

「そうなの?」

「俺が嫌だと言えば何度とでもお見合い相手を探すからそれが嫌で結婚しようかなって」

親の言いなりしか出来ないよね。

「そっか、親の言いなりしか出来ないって寂しい人生だよね・・・」

「ほんと、男子校だから恋することを知らないんだよな、可愛いとは思っても結婚したい相手付き合いたい相手と言われても違うしな」

そうだよね、僕も正直、恋なんて分かんない。
一緒にいたい人・・・そんな人に巡り会いたかった。

「将来独身だなって思ってたからな」

そう言って少し寂しそうに笑う。

同じなんだ・・・そのうち僕みたいに嫌でも結婚して同居する。

彼を僕みたいにさせてはいけない・・・どうすれば力になれるだろうか。