SideJ

毎日が幸せ、しょおくんがそばにいてくれるから。

そんなある日

「俺さ、1回実家に帰らないといけないんだよな、潤のこときちんと紹介できたらって思ってるんだけど・・・」

僕のことなんか紹介しなくたっていいのに。

「自信ないよ・・・」

「どうして?」

どうしてって・・・僕はしょおくんに拾われてるからこうして幸せなのに。
両親に捨てられた僕なんて紹介されてもね。

「だって・・・僕は捨てられてたから」

そう言うとしょおくんは一瞬びっくりしたけど直ぐにギューッと抱きついて

「あまりにも真っ直ぐ過ぎたから忘れてた、ごめん、むやみに紹介することでもないな、でも、いい加減向き合いたいなっと思って、いつまでも仲悪いのも良くないことだろ?」

それはそうだね、せっかく両親がきちんと育ててもらったのに・・・。

「うん、でも、そこに僕がいたら迷惑だよ」

「潤が嫌がるなら紹介はしない、友達としてならいいか?」

しょおくんのお友達としてなら普通に会っても大丈夫だよね?

「うん・・・」

「ありがとう」

軽くキスされてこれから向かおうと思ってたら

「潤、潤の母さんが来てる、どうする?

「え?」

なんで急に?

「話したいことあるらしい」

そう言われても僕は怖い。
僕を捨てた人と会うなんて・・・。
妹は捨てられてないのなら幸いだけど。

「俺が話しようか? 潤のことなら少しでも知りたいし」

「まぁ、潤は翔くんが話してる間にちゃんと決めてね」

僕はそっと覗いた。
変わらなそうな姿、妹は大きくなってる。

「潤、俺がそばにいるから少しだけ話してみないか?」

「うん」

そばにいてね? お母さんは謝ってきた。
捨てたこと、後悔してる・・・。
僕は寂しかった、僕はいい子にしてたのに。
何の悪いこともしてないのにどうして捨てられるのかって。
妹の為、そう思えば僕は頑張れた。

児童相談所に入ったのは妹が無事に生きられるためって。 でも、辛かった・・・、ここの空気は汚い・・・程々な食事しか取れない。
学校の給食の方が美味しい。

助けてくれる人なんかいない、みんな可哀想にって思うだけであって心の奥底は笑っている。
助けるはずないじゃんって、こっちも不幸になるなんてごめんって。 

そんなふうに聞こえてくる・・・物凄く悔しかった、僕は普通に生きられないのだろうか、普通に美味しいもの食べれないのだろうか、いい空気は吸えないのだろうか。

それが何年も続いて初めてしょおくんに会った。 僕の心の声が聞こえたって言ってた。

僕の気持ち届いてくれたこと今では凄く感謝してる。

軽蔑する目でなんて見ない。

立ち止まってくれたのはしょおくんだけだった。

だから、今は幸せなの。
だから、お母さん事を恨んだって何の得もないし、せめて、二度と会わないで欲しい。
お母さんのこと好きだったから。

それが僕の願い、会うと苦しくなっちゃうから

願いを言えば分かってくれた。

「潤・・・」

「どうして? なんでしょおくんが泣いてるの?」

お母さんが帰って行ったあと、しょおくんからポタポタと涙が溢れてた。

「なんでだろうな、潤が好きだからだろうな、潤の気持ちは俺にも伝わってくるから」

しょおくんにはなんでも伝わってしまうのだろうか。

「泣かないでよ・・・ほら、しょおくんの実家行くんでしょ?」

「ギュッとさせて?」

不安そうなしょおくん、ギューってした。
いつもと逆だね。 そう思うと僕だけなんだって思えた、こうしてしょおくんを泣かせちゃうのも。

「ね、やっぱり恋人として紹介してくれる?」

「いいの?」

「いいよ」

そう思えたから。

しょおくんの実家にお邪魔すると

「あら、翔が友達連れてくるとは」

「友達じゃなくて恋人」

するとしょおくんのお母さんは

「ふふっ、そうなのね、男の恋人なのね」

「反対しても付き合うからな」

「反対はしてないよ、初めてが男だとは驚いたけど」

良かった・・・僕たち普通に付き合えるね。

「翔のこと任せられるわ」

「ふふっ、頑張ります」

「こんなに綺麗な息子ができるとは」

え? 息子?

「ふふっ、父さん呼んでこよっと」

なんかだか良さそうなお母さん。

「あれは相当気に入ったみたいだ、潤はやっぱり綺麗だもんな」

「もぉ、恥ずかしい」

あ、お父さんかな?

「ね、綺麗でしょ? カッコイイでしょ? 可愛いでしょ?」

お父さん苦笑しちゃってるし。

「そうだな、美人さんだな」

美、美人さんって・・・恥ずかし。

「でしょ?」

「舞たちが翔のお手伝いしてたって言ってたな、それが潤くんなのか?」

「お手伝いさせてもらってます」

優しい人たちだよね。
大丈夫だよね?

「ふふっ、可愛い、もう帰る?」

そう言われてびっくりした。
もうって・・・?

「どうする? もうちょいいるか?」

「しょおくんは?」

どっちでもいいかな。 思ったよりも居心地は良さそうな感じはあるし。

「んー、じゃあ、もう少しいるか」

「あ、そう言えば、羊羹食べる?」

「お、食べる」

「あんたじゃないよ、潤くんに聞いてるのよ」

「僕? 食べます」

「うん、じゃあ用意するから座っててね?」

ふふっ、しょおくん、拗ねちゃった。

「やっぱり潤の為だよな」

「何が?」

「なんでもない」

ふふっ、しょおくんが笑ってるなら悪いことではないのは分かるからこれ以上聞かなかった。

羊羹は凄く美味しい。
ふふっ、しょおくん、大好き。

「ふふっ、羊羹食べるだけで可愛いのかよ」

「え?」

「可愛過ぎるってこと」

「ふふふっ、知らないもん」

「ふふっ、甘っ」

何が? 甘いの?

「どういうこと?」

「いや、2人とも甘い空気なんだよね、いい恋したのね」

ふふっ、甘いのかな。
確かに甘いかも。

「いい恋はしたよな」

「ふふっ、うん」

恋してよかった。