慣れては来たけど、なんだかな。

今日は智くんの絵が美術館に展示された日。
早速行ってみると・・・、果物とか野菜とかも上手いけど・・・潤の絵の方が目に入る。

猫と楽しそうにしてる潤は楽しそうだ。
リアルに描かれていて・・・綺麗なんだけど、何故か他の感情が邪魔をする。

なんだろ、嫉妬が出てくる。
潤はあんなに綺麗なのに、それを描いた智くんに? それとも楽しそうにしてる猫?

どっちもなのか?  でも、なぜ嫉妬するのか分からない。 会えないだけでならおかしい気がする。

でも、智くんがあんな絵を描いたからだと思うのは確かだ。 それと猫となるとそんな、顔するんだと知らなかったこと。

潤に入れ替わったって何も知ってるわけでなない。 心の中や出来事を知ってるだけでどんなふうに普段から過ごしてるのかは俺には字を見てこんな感じなんだなと思ってるけど、その時にどんな表情をしてるのかなんて分かるはずもない。


家に帰れば潤の姉ちゃんに呼ばれた。

「ねー、潤じゃ無いでしょ?」

「え?」

急にそんなこと言われて驚いた。
これってバレたらまずくないか?

「ふふっ、安心して? 入れ替わってること知ってるから」

「そうなの?」

潤が喋ったってことか?

「うん、それね、本で読んだことあるのよ」

「へぇー」

「何年から来たの?」

「何年?」

「西暦だよ、ここは2010だとすると、その先の未来から来たよね?」

「え?」

「ふふっ、まぁ、いっか、何年先であっても」

「で、さ、なんで、入れ替わってるかと言うとどちかの未来が大変な目にあうか、またはお互いに特別な何かを思ってるから、そういう性質だからなの。」


大変なこと? 特別な思い? 性質?

「どうしたら元に戻れるの?」

そう聞くと

「ふふっ、そうだね、特別な思いに気が付くことかな」

特別な思い? 会いたいと思う。
でも、何故会いたいかと言われても上手く言えない。 約束したからもあるけど、他に何かあるのだろうか?

「そこに気づかない限りはずっとこんな感じだと思う、じゃないと未来は無いかもしれない」

そう言われたらどうすればいいのか?
俺は気づけるのか?

未来がないなんて俺たちはどうしたらいいんだ? それは潤にだって関係するんだろ?

「どっちが気づくの早いかな〜、潤もまだ気がつけてない」

潤がもし、気づけば、俺も気づけるのだろうか。

「ふふっ、潤は誰よりも思いやりが強いから、そう簡単に智くんの断れるのかしらね」

え? やっぱり告られてたのか?
そっか、やっぱり智くんにとっては特別だったんだな。 
 
そんなの・・・嫌だ。

俺、見てられない気がする。  
隣で見てみたい、そんな誰かの傍で笑ってる潤じゃなくて俺の隣で笑って欲しい。
俺の隣にいてほしい。

見たことないから、1度だけ初めて会った時からなんとなく気になってた。

その時の初めて手を添えた時ほんの少しドキッとした。 

そのドキッとした感じ、潤に伝わっちゃったかな?

「そっか・・・」

「まぁ、潤は多分無理だろうけど?」

そう言ってクスッと笑って自分の部屋に戻って行った。

自分の気持ち・・・。
潤は? 俺と同じ気持ちかな?
でも、違ったら? それはそれでどうなるんだ?

断れたりしたら怖いけど・・・、でも、せっかくの好きになった気持ち何も言えないままなんていつかは後悔するだろう。

それならちゃんと会って伝えたい。
やっぱり隣にいて常に幸せって思えるような人と一緒になれたらなって思う。 だから、中には身体の関係だけでも良ければそれでもいいって思う人もいるけど、そんなことをしなくても幸せだって思える人がいいかな。

だってさ、それだけじゃないじゃん?
デートしたりしてさ手を繋いだりさ?
楽しみたい、もっと好きになりたい、そんな感じじゃない?

それが潤とならさできるんじゃないかなって。
楽しめると思うんだよな・・・、その先もあるけど、それをしなくたって満腹になりそうなぐらいの幸せに。

気づかせてくれてありがとう、先輩のことについては本当にスッキリしてる。
別に今更後悔なんてするつもりもないし、それに、辞めても正解だったし、それからはまたニノたちとも話す時間増えたし。

あの二人は付き合ってるのはずっと前からだけど、それでも俺といる時間も長い。
そして、あの二人はいつも誘ってくれるし。
大切な友達と過ごす時間も大切。

潤、俺はお前が好き、けど、もし、智くんと付き合うならそれも応援する。

好きだからこそ邪魔はできない、潤だってきっとそうだかららね。