次の日、目覚めれば僕はいつも通りだった。
ふと、机を見ればメモ用紙が1枚あった。

書いてくれたんだ。
良かった・・・、これで少しは困らないかな。

いつも通り食べ終わられば智が待ってるから直ぐに家を出た。

「おはよう」

「おはよう、智」

学年は違うけど唯一の友達だから。

「んふふ、今日は平気か?」

「なにが?」

「記憶が無さそうだったからな」

「ふふっ、あるよ」

そう言うと

「昨日は松潤らしくなかったなと言うか機嫌悪いのか、んふふ、好評だったけどね?」

やっぱり僕らしくないんだよね、僕は僕だもん。 しょおくんも苦労したんだ思う。

「そっか」
 
学校に着くといつもよりもおはようって言われる数が多かった気がする。

それと・・・

「昨日は凄くかっこよかったぞ、見直した」

「え?」

「いつもなら見てるだけなのに昨日は助けたじゃん」

そう言われてもピンと来なかった。 
でも、よくよく思い出せばしょおくんがそんなこと書いてたかも。  

知ってた、随分前からいじめられてたことぐらい、でも、僕には勇気がなくてただ見てるだけしか出来なかった。

それをしょおくんが助けてくれたから僕ではない・・・、そんな勇気があって凄いよね、僕もそんな勇気があるなら助けられるかな?

「なんか、ムカついたから」

そう言ってその話題からは逃げた。
それからは女の子は虐められることは無くなった。 

やっぱり授業は分かりやすかった。
それは、3年生の勉強したからかな?
それとも、いつも通りだったから?

帰りは智と帰ることになってる。
智は大学生なのに・・・それでも一緒に帰ってくれる。 毎日は無理だけど、なるべく一緒に帰ってくれるんだ。 

「お待たせ」

「待ってないよ」

てか、いつも僕の方こそ遅い時が多いのに。

「あのさ、次の絵を美術館に展示したいんだけど、その絵を決められなくてさ」

智の絵はどれもいいと思うけど?

「うん」

「お願いあるんだけど・・・」

こんなふうにお願いされるのは初めてだからちょっと真剣なのかなと思った。

「いいよ?」

そう言うと少し嬉しそうな表情をしたけど直ぐに真剣な表情になって

「モデルになってくれない?」

僕が? 智の絵の中に僕が? 
ちょっと恥ずかしい気がするし、僕なんかでいいの?と思うけど、そんなに必死そうにお願いするなら・・・

「いいよ」

「ありがとう」

ふふっ、小学生の頃から毎年飾られているからね? 先生に推薦されたら断れないのも事実だけど。

「締切がさ、今月なんだよな」

智の絵はいつも描きたい時に書くから締切が短いほど嫌がるんだ。

「今日からでもいいよ?」

「んふふ、じゃあ、始めるか?」

「うん」

早速お家に帰った。
どんな服がいいのかな?

汚れてもいいような洋服にしとこうかな、綺麗な服過ぎてもなんかな・・・。

とりあえずいつも着てる服にすることにして急いで智のお家に向かった。

お出迎えは子猫だった。
可愛いけど、智って猫飼ってたかな?

智が来たら子猫は智のところに来て遊んでって言ってるように聞こえた。

「いつから飼ってるの?」

そう聞くと

「野良猫だよ、たまたま俺の家の近くにいてじっと見てたら懐いてきたからさ・・・」

懐いちゃったんだね。 

「可愛いじゃん」

「ん、まぁな、じゃあ、その子猫連れて外行くか」

外で描くの?

「うん」

すぐ近くの公園についてベンチに座ることになった。

そして、僕が子猫を撫でてるところを智は描き始めた。

大人しいからそんなに動かなくて済んだからかすぐに描けたみたい。

「いいの、出来た」

わぁ、ほんとに僕だ。 
僕、そんなに愛しそうな顔してたの?

「凄いね?」

「描きやすかっただけだよ」

そう言って僕の髪の毛を撫でた。

「僕、何もお礼できない・・・」

つい、独り言を言っちゃうと

「んふふ、ずっといてくれるなら何もお礼することはないよ」

ずっと?

「ん?」

「ずっと俺の傍にいてほしい」

え? 智の傍に?

「いつもいるじゃん」

そう言うと

「大人になったら離れるかもじゃん?」

「そんなことないよ」

そう言うと

「じゃあ、松潤は神社を継ぐってこと?」

そう聞かれて・・・
僕はハッキリとは決めて無かったからビックリした。

「継いで欲しいとは言われてるけど僕なんかできるかな・・・」

大変そうなおじいちゃん見てると僕なんかに出来るのだろうかと思ってしまう。

「んふふ、出来るよ、誰よりも傍で見てきてるんだから」

智にはやって欲しいってこと?
確かに何がやりたいかなんて無いし、大学に行くと凄くお金がかかるしね。

「ありがと、考えてみるよ」

少しだけやれそうな気持ちが増えたよ。