SideS
ん、あれ? あ、そうだ、俺は昨日酔いつぶれて潤の家に泊まることになって・・・。
って、なんで、抱きしめられてるの?
でも、可愛い、抱きついてくるなんてそれは他の人にしないよな?
「あ、翔さん、おはよう」
「おはよう、潤」
なんか、新鮮・・・このやり取りだけでもドキドキと言うか自然と笑顔になる。
「あの・・・」
「ん?」
「良かったら聞かせて欲しい、翔さんのことをもっと知りたい」
俺のことを?
「何を聞きたいの?」
「院長だったのは本当の話なんだよね?」
それは、雅紀と話してる場面を聞いたってことかな?
「うん、そうだよ」
「もしかして、櫻井総合病院の?」
「ふふっ、うん」
本当の話、信じてくれるから話すけど、きっと潤は俺の話に興味を持つよね?
「なんで辞めたの? 院長ってそう簡単に舐めていいものなの?」
あれ? 俺、責められてる。
こんな予想はしてなかったな。
「大切な弟を殺されたからだよ」
「え?」
今から約5年前の話。
俺は院長になった頃で忙しい日々。
患者さんをこの手で何人も救った。
ほぼ、生き返らせることが出来て死亡率が少ない数少ない病院。
生き返らせると言うより元気にさせるの方が正しいか。
突然親から帰ってこないと言っていた。
部活だから遅いと思ってた。
けど、深夜になっても帰ってこない。
次の日は遺体として発見され、原因不明のまま何も知らず俺は悔しかった。 もっと知れないのかと思ったけど既に遺体はお墓。
今更どうしようと無理なことだけど二度とそんな目に あいたくない。 そして、自分の手で原因を探りたいと思い始めた。
それがきっかけ。
そんなふうに話すと
「ごめんなさい・・・」
「謝らないでよ、確かに院長だから責任は重大、救える命が減るかもしれない、けど、何も知らないまま知らされるのは二度とごめん、そんな人がいたらそれこそ可哀想。 妹がいたから継いでもらった。」
そう言うと
「僕はその頃なら新人で分からないことだらけ早く追いつきたくて必死に学んだ。」
「うん」
「でも、僕は解剖するのは苦手で怖かった。」
「え?」
そうだったの?
「ダメだよね、失格なのは分かってるけど、僕もお姉ちゃんが何故・・・」
「原因不明と」
「うん、だから、僕はやることによって似てる事件を担当することが出来るんじゃないかってそう思ったからここに入った。」
潤も大切な人が原因分からないままなんだ。
「ふふっ、翔さんが入ってきてくれたの凄く嬉しいよ?」
「え?」
「ふふっ、だって、カッコよくて可愛いもん」
「ふふっ、そうか?」
「うん」
それから潤の服を借りて出勤することに。
今日の朝礼で風間さんは移動することになったと発表があった。 元々人数が少ないのに・・・なんでだ? そして、真面目で優しい、初めて話しかけてくれた人でもあるのに。
納得いかない、けど、俺が言ったってなにも変わらない気がする。
すると潤はこっそりと
「毎年誰かしら移動させてるの」
え? 毎年なのか?
「どうしてなの?」
そう聞くと潤は
「教えてあげたいけど、もう、始まるからお昼に話せる範囲で話すね?」
やっぱり智さんって何者?
風間さんを見ると少し寂しそうだった。
え? ここの人達に共通してるのってカッコイイじゃないの? でも、カッコイイなら風間さんは当てはまらない。 中身はいい人なんだけどね。
多分、本人は知ってそうだから意見を言っただろうな。
はぁ、逆に集中出来ないって。
でも、やらきゃいけないとは沢山ある。
例え解剖がなくたってやることはあるしな。
昼休みになると潤が誘ってきたからベンチに座った。
「なんとなくでしか分からないけどいい?」
頷くと
「智さんのお気に入りがいる、お気に入りじゃないからそのうち移動させられる、元々風間さんは警察の方からの推薦だから」
ってことは風間さんって元々は警察の人?
「智さんのお気に入りはパターンがあるから僕たちは捨てられることは無い」
俺たちは捨てられない、それはいいけど、風間さんはどうすることになってるんだ?
「智さんって何者?」
つい、そんなふうに言っちゃう。
分かってるよ、所長なんだから偉いくてきっと俺たちよりもスキルが上な人なぐらい。
「んー、表の顔は法医学者だとし、裏の顔をただの変態だとする、誰よりも人の死を分かってる人が案外してたりして」
え? ほんとなのか?
「ふふっ、最後のは冗談」
「そうだよな・・・」
「ふふっ、大丈夫だよ、頑張ろ?」
「うん」
「ほら、食べよ?」
「うん」
やっぱり潤が作る弁当はめっちゃ美味い。
「美味いっ、ふふっ、ありがとう」
「ふふっ、もぉ、翔さんは詰めすぎ」
「ごめん、だって、美味いもん」
「ふふっ、食べてる時は幸せそうだね?」
幸せ? それも食べてる時が?
「ふふっ、幸せ?」
深く考えたことないけど。
けど、潤といることは楽しい。
「え? 自分では気づいてない? 食べてる時に幸せは感じないかもだけど、何かに幸せはないの?」
そう聞かれて幸せって考えたことあるかな。
「んー、潤といることが幸せじゃん?」
この時間が終わって欲しくないって思うから。
「翔さん//」
「潤の方が可愛い」
「もぉ、翔さんのバカ//」
ふふっ、顔真っ赤。
可愛いしかない。
「お二人さん楽しそうだね?」
そう言われてなんか恥ずかしい。
「ニノ〜、今回、どこ行き?」
「もっと有名な研究場みたいよ?」
「良かった〜、変な場所じゃなくて」
「変な場所?」
そう聞くと
「ふふっ、研究に関係ないような場所まで移動は幅広いので」
「ね、ほんと、あの人どうしたいんだか」
「ん、潤くん、大野さんの研究は凄いから何も言えないよ」
なんか、ニノって・・・。
「俺が調査してくるよ」
「うん、お願い」
そして、俺たちは研究所に戻りニノは
「大野さん〜」
「ニノ?」
「ね、いいでしょ?」
あれ? ほんとにわざとなのだろうか。
「んふふ、可愛いな」
「ね、大野さん、どっか二人きりになりたい」
「いいよ、おいで?」
なんだろう、なんかモヤモヤする。
「翔さん?」
「ん?」
「どうしたの?」
なんて答えたらいいのか分かんないけど。
「ニノって普段からなの?」
「んー、智さんは可愛がってくれるのを知ってるからニノはわざとやってる部分もあるよ」
「そっか」
「でも、ニノは本気で好きなのかもしれない」
だよね・・・。
「やっぱり?」
「翔さんも?」
「ふふっ、一緒だな?」
「うん」
どうしてこんなに一緒だと嬉しいんだろう。
でも、どうして・・・、智さんとニノを見た時にモヤモヤしたんだろうか。
そして、仕事を終えて潤と帰ろうとした時、
「翔くん」
智さんに呼ばれた。
話を聞けば長そうだったから潤には帰ってもらうことにした。
「連続殺人が起こってる、今からちょうど5年前と同じような手口で」
え、智さん、知ってるの?
「ん? 5年前に何かあったの?」
そう聞かれて頷くと
「んふふ、その五年前は担当はしていたけど、女の子だったな・・・」
「女の子?」
「うん、まだ学生でこれからだと言うのに、その原因は薬で殺されたってのが俺の考え、女の子は血を出していたけど、刺された形跡は無いから」
そっか・・・。 でも、弟は血はなかったと思う。 一日で無くすものなのか?
「でも、少し拭かれた後があったから他の遺体は拭かれていて血の痕跡は目ではあんまり見えなかった」
なるほど、確かにライト使って血の痕跡を探してる。
「全部が全部俺のところに運ばれてくるわけじゃない、中にはヤブ医者がいたかもしれない」
「確かに・・・」
そう言うと
「んふふ、それを逮捕してもらうのは警察、その原因を調べるのが俺たちだよ?」
頷くと
「さて、その話しは終わり、俺は本気で翔くんのことが好きなんだ、確かにすぐに好きになって欲しいとは言えないから待つけど」
智さん・・・。
でも・・・、そういう意味で好きじゃないと思う、ずっと一緒にいて欲しいとかって言われても俺は無理な気がする。
この何となく嫌な空気、苦しい。
「ごめんなさい、好きになれないよ」
そう言うと
「いいよ、好きになれなくても、好きになるから」
そうしてまた、抱かれる。
せっかく楽しかったのに、また、嫌な気持ちに戻る、拒否れないのは何故?
それは好きだからなの? 智さんの言葉、忘れてたけど、確かに求めてるかもしれない。
「智さん、でも、やっぱり無理だよ」
どんなに、反応したって・・・。
時間が止まるだけだから、時間が動けば自分が嫌になるから。
「んー、そんな嫌だと言われちゃ困っちゃうなじゃあ、これ、見せびらかしていいの?」
そう言って見せたのは俺の絵と潤の絵とニノの絵、どれもこの前よりも綺麗に仕上がってた。
そんなこと言われちゃ狡いだろ。
「智さんは本当に俺が好きなの?」
俺じゃなくたっていいじゃん。
「んふふ、もちろんだよ」
そう言って俺の髪の毛を撫でてきた。
「智くん・・・」
「え?」
「え? あ、歳近いからいいかなって・・・」
思わず甘えてしまいそう。
「嬉しい、そんなふうに言ってくれるなんて」
「ふふっ、そう?」
「だって、仲良くなれたと思うじゃん?」
そう言われてなんか恥ずかしかった。
「ねー、じっと見てて?」
そう言われてビックリしたけど、思わずじっと見てしまうほど優しい笑顔だった。
「っ・・・!」
キス? された・・・、でも、自然と俺も智くんにキスしていた。
なんだろう、だんだん心が奪われていきながら必死に考え始める。 好きじゃないのにキスするとは・・・、俺は智くんに操られている?ような気がする。
「翔くん、好きだよ、大好き。」
あれ? なんだろ、俺は必死に考えていたのにな
「智くん・・・俺も、好き」
いつの間にか自分で言っていた。
「んふふ、待ってたよ? チューしよ?」
「んっ、んんっ・・・」
「んっ・・・しょう・・・くん」
はぁ・・・熱い、智くんの熱が・・・俺の理性を溶かし始める。 最後の理性がもう・・・一欠片もない。