あれからじゅんは人気者になってしまった。
それはいい意味でも悪い意味でも。

「ふふっ、潤くん、人気になっちゃって隣のクラスでも噂されるレベルですよ」

ニノの情報は最新だからいつも助かる。

授業が終わればじゅんは率先して荷物を持つ。
教室を出れば色んな人と出会う。

手伝ってて偉いと思ってるやつもいるけど、そんないい人だらけではない。
それを本人が知ってるかは不安だけど。

すると

「なんで偉そうにしてるの?」

手伝うのは当たり前じゃない。 この子は手伝ってて当たり前だとでも思ってるのか?

「なんでそう思うの?」

「最近、噂になってるよ? 先生のお気に入りを狙ってるんじゃないかって、違うならやめときなよ」

じゅんの耳元で話してるのがなんとなく聞こえた。 小さいからこれが本当かは分からないし、口の動きでなんとなく読み取ったのもあるから。

するとじゅんは俺に荷物を渡して

「次の時間に間に合わないと思うから」

そう言って俺の背中を押した。

振り返るとじゅんはニッコリ笑った。
そして大丈夫って俺の心に響いた。
ここはじゅんを信じようと思い先に行った。

実際、次の授業はないけど。
だから俺はすぐじゅんにラインした。

じゅんからはなかなかラインが来ない。
まぁ確かに授業中だから厳しい先生だとスマホは禁止だ。

すると智くんからのラインを見て急いで保健室へ。

「どういうこと?」

そう聞くと

「本人から聞いたら?」

そう言って智くんはどこかへ行った。
俺はカーテンを開けた。
するとじゅんは毛布を被っていて顔が見えない

「じゅん?」

呼んでも返事がない。
そっと毛布ごと抱き締めた。

「全部話してくれる?」

そう聞いてゆっくりと離すと

「僕のせいだから何も聞く必要ないよ。」

そう言ってニッコリ笑った。
でも、顔には絆創膏が貼られてる。

「殴られた?」

そう聞けば首を横に振る。

「叩かれた?」

そう聞くと頷いた。

「そっか。 俺のせいだよね?」

そう聞くと首を横に振って

「それは違う。そしたらしょおくんに言ってくるでしょ? 大丈夫だよ、僕は手を出さなかったし、向こうは怯えてどっか行ったから。」

そうなんだ。 向こうは嫉妬しただけ?

「他には?」

お願いだから全部話して。 凄く心配だよ。

「んー、他に? 別に僕は僕の意見を言わせて貰った、そしたら叩かれただけ。」

そう言って少し寂しそうに笑った。

「そっか。 じゅんは頑張ったね。」

するとじゅんは

「ふふっ、頑張ってないよ。 保健室にいるから。」

「でも、手を出さなかったこと、自分の意見を曲げなかった、じゅんの頑張りだよ? もし、反対のことしたら喧嘩になってるよ?」

そう言うと納得したみたいで頷いた。

「ふふっ、しょおくん可愛いね?」

そう言ってぎゅっとしてきた。

「どこが?」

そう言うと

「全部かな?」

「おい、それはないだろ?」

「ふふふっ、それも可愛い。」

じゅんが俺のことを可愛いと思ってるのは相変わらず分からない。 

チュッと触れるだけのキスを何度かした。
じゅんは

「ふふっ、温かい。」

そう言って俺の胸に顔を埋めた。
俺たちにいい風が吹いたみたいで、今は凄く幸せな時間だと思った。