じゅんは今日で保育園卒業。
今は、もうすぐ終わる頃。
大人しくしてるけど、朝は泣いてた。
じゅんのお母さんは帰ってこなかった。
正式には帰ってこれない。
説得してこうして無事に出れてる。
帰り、じゅんは
「ママにも見てほしかったな」
寂しそうに呟いた。
家に帰って少し休憩したあと
電話がかかってきた。
じゅんのお母さんの病院からだった。
緊急手術。
何が起きたんだ?
「じゅん、ママに会いたい?」
すると頷いた。
「最後まで聞いてくれる?」
「聞くから教えて?」
じゅんは大泣きするかも。
でも、家で一人にさせるのは絶対にダメだ。
「じゅんのママは病院なんだ」
そう言うとじゅんは
「ママ、どっか悪いの?」
「俺も詳しくは分かんない。 だから、今から病院向かうんだ。」
するとじゅんは更に泣きそうな声で
「大丈夫…だよね…?」
「大丈夫、きっと治してくれるから」
じゅんは抱きついて思いっきり泣いた。
きっと、大丈夫。 そっと背中を擦る。
「ふぅ…!」
落ち着いたみたいだ。
「しょおくん、ここから近いの?」
んー、近くじゃない気がするな。
調べてみるとセキュリティーが万全な大きな病院だ。
「遠いかも。 少し歩いてタクシー乗るよ?」
するとじゅんは
「タクシーじゃなくていいよ。」
え? どういうこと?
「どうして?」
「呼べばきてくれるから」
そう言ってじゅんは電話し始めた。
「ふふっ、来てくれるって」
「そうなの?」
じゅんは嬉しそうに話す。
誰なんだ? と思ってるとすぐに来たみたい。
「潤ちゃん、お待たせ」
「まー! 急いで?」
「ふふっ、了解」
なんなんだ? 友達?ってわりにはあまりにも年齢が離れてる。
「しょおくん! 行くよ?」
「ちょっ、じゅん!」
じゅんが俺の手を握って引っ張ってく。
「くふふ、潤ちゃんのお友達?」
彼も優しそうだな。
「んー、ちがうよ。しょおくんは、家族だよ」
そっか。 家族なのか。確かにそんな関係かも。
「え? いつから?」
「ふふっ、んー、もうすぐで2ヵ月かな?」
「そっか。 お母さん、何も言ってくれないから知らなかったな。 でも、嬉しそうだった」
じゅんはニッコリ笑った。
「ふふっ、でしょ?」
ほんと、お母さんのことになると前向きだな。
「あ、着いた、落ち着いていってらっしゃい」
「まー、ありがとう」
俺たちは降りてお母さんの病室へ。
受付の人に聞いて案内してもらった。
「しょおくん…」
心配なんだよな。
じゅんの手をぎゅっと握った。
「ちゃんといるから…ね?」
大丈夫。俺がいるから。
「うん!」
ふふっ、元気になった。
病室に入ると眠っている。
心拍数は安定している。
「ママ…!」
じゅんはお母さんの手を握った。
心配そうに見つめてる。
その時に看護師さんに…
「お母さんは大丈夫ですよ」
じゅんにニッコリ笑った。
それから
「説明聞きますか?」
そう聞かれた。
「じゅんはここにいる?」
お母さんと一緒にいたいよな。 少し心配だけど大丈夫だろう。
「うん、ここで待ってる」
じゅんがいる間に目覚めたらいいな。そう願いながら看護師さんについていく。
医師から…
「胃ガンですね」
え? ガンなの?
あんな元気そうだったのに?
そう思うと何も知らなかったな、だから、面倒を頼まれたのかな?
「どのぐらいですか?」
そう聞くと
「手術すると完治するほどです。」
そう言われた。
「再発する可能性はありますよね?」
だって、よく聞くし。
また、なったりしたら…どうするの?
「原因はストレスです。 ストレスをためすぎないことが大切です。」
そうなの? そんなストレスたまってるのか。
「分かりました。」
ーーー
じゅんの病室に戻ると話していた。
「しょおくん!」
走んなくてもいいのに。
ぎゅっと抱きついてきた。
ぎゅうぎゅうしながら俺から離れようとしない
「翔くん、ごめんね? 潤、大丈夫だった?」
あ、卒園式? 頑張ってたな。
「もぉ、ママ、ぼく、ちゃんとやったよ?」
「ふふっ、ごめんごめん」
二人には二人の関係がちゃんとある。
なのに、俺を受け入れてくれた。
もしかして病気のこと知ってたから?
「じゅんは、頑張ってたもんな?」
一生懸命だった。 ちゃんとビデオには撮ってあるよ? 退院したら見れる。
「うん! ぼくね、しょおくんがいたから…
がんばれた!」
それはすごく嬉しいな。 これでも俺は…心配してたんだ。
「ふふっ、良かった」
じゅんを連れてきて正解だな。
「翔くん、ありがとう」
「俺は何も…」
だって、近くにいながらも気がつかなかった。
「しょおくん、 どうして、泣いてるの?」
あ、いつの間にか泣いてた。
「ごめん…!」
じゅんは首を横に振って
「ふふっ、泣いていいよ?」
「え?」
「だって、ぼくがいるもん!」
はぁ…、なんか情けないじゃん。
バカ。 溢れちゃうだろ?
「翔…! おいで?」
ほんと、そう言うところ親子だよな。
そっと抱きついた。
「ごめんなさい…」
止まんない。
こんな泣いたのいつぶりだろうか。
そのぐらい、俺にとって大切な人たちだった。