ずっと黙っているとゆっくりと抱き締めてきた
「俺といて不安?」
不安じゃないけど…!
違った関係になるから…!
「不安ではないかな…」
すると翔さんは離れて
「ふふっ、分かった。寝るまでには返事してね?」
とりあえず頷いた。
そしたらニッコリ笑って部屋を出ていった。
え? 何? 今のは…!
今、雅紀さんと智さんはお仕事中。
カズくんは、まだ帰ってきてない…!
ってことは…、一人か。
翔さんはどこ?と思ってると上に上がってくる足音がした。
部屋を出て、向かうとカズくんだった。
「あ、翔ちゃんなら、さっき、嬉しそうにケーキ買いに行ってたよ?」
え、ケーキ? 買いに行ったの?
「そうなの?」
「ふふっ、外出るときに浮かれているのは、初めてだよ!」
そ、そんなに? なんか、可愛い。
「知らなかった…!」
そう言うと
「ごめん、サプライズだったのかも…!」
「大丈夫だよ! カズくんから聞いたことさ内緒にしとくから。」
むしろ、安心したもん。
良かった。 僕のこと嫌いにならなかったんだ
「ふふっ、潤くん、暇?」
「うん!」
「ゲームしよう?」
ゲームか…! 少しだけしたことがあるけど…!
「いいけど、できるかな?」
カズくんはゲームが好きなの?
「簡単なゲームしよう?」
ふふっ、楽しそう。
それからカズくんがゆっくりと教えてくれたから僕もできて、最初は協力プレーをした。
「潤くん、できるじゃん!」
「ふふっ、ありがとう」
それからは楽しくて翔さんが帰ってくるまでずっとやってた。
「そう言えば、雅紀さんのこと、どう思ってるの?」
なんか、従兄弟って言うわりには少し違うような気がする…!
「恋人だよ、俺がここに来てからではないけど…! まーくんが遊びに来ると縛られた縄はほどかれるから、俺にとってはまーくんが俺を助けてくれたんだ」
そうなの?
「ふふっ、だからか…、雅紀さんが僕と話すときに少し睨んでるなって」
「ごめん、その時はまだ潤くんのこと詳しく知らないから取られたら…って思ってたから」
ふふっ、カズくん、恥ずかしかったのかな?
こうして、話してても翔さん以外にドキドキしない。
やっぱり翔さんは僕にとっては特別なのが分かる。
「最初はまーくん以外に話せなくてさ…!
翔ちゃんは沢山話しかけてくれたのになんか、話せなくてね、だけど、いつの間にかみんなといるのが楽しくなったな」
そうなの? 確かに、僕も翔さん以外には最初は話せなかったな。
「僕も、ここにいて楽しいよ」
「ふふっ、それは良かった。 一番喜んでるのは翔ちゃんだろうけど」
ふふっ、確かにそうかも。
すると上がってくる足音がしたから出てみると
「うわぁ、ビックリした~!」
あれ? 驚かせてるつもりはないけど…!
「ごめんなさい、驚かせちゃった?」
するとニッコリ笑って
「少しだけね」
荷物を半分持って、テーブルに置いた。
するとお仕事終えた二人が帰ってきた。
「みんな、揃ったことだし、ケーキ食べよ?」
ケーキか。 僕のお祝いしてくれるの?
「ん? 今日は潤くんの誕生日なのか?」
「わぁ、流石、翔ちゃん、沢山だ!」
「ん? うわぁ、俺の時よりも多い!」
ふふっ、買いすぎ。
いつもならこの日はずっと嫌だったけど、
今は、嬉しい。
「おめでとう!」
うわぁ、豪華って感じ。
「ありがとう」
大きなケーキじゃなくて一口で食べれそうなケーキが沢山。
「好きなの選らんで?」
好きなケーキね。 どれも美味しそうだけど…
チョコレートケーキとモンブランにした。
食べてみるとすごく美味しかった。
「美味しい?」
「うん!」
みんな楽しそう。
でも、僕よりも楽しんでる翔さん。
ふふっ、可愛い。
なんか、二人きりでいるみたいに感じる。
今日は雅紀さんが御馳走作るから、僕は、翔さんに呼ばれてお部屋に。
「プレゼント受け取って?」
誕生日用にラッピングされてある。
「ありがとう」
空けてみると…!
筆箱とペンが沢山!
「潤は、そろそろ始めないとね、少しずつだけどね?」
僕のために? 買ってくれたの?
「うわぁ、ありがとう、嬉しい」
こんな嬉しいのはないよ。
「ふふっ、良かった。」
ぎゅっと抱き締められて
「ダメ?」
その声は震えていた。
ダメじゃない。
けど、迷惑とか結局色々と考えてしまうから…
そんな自分が嫌なのに、それでも、好きなの?
「潤のこと全部知りたい、知っても嫌いにはならないし、もっと好きになると思うんだ。」
ほんとに? ほんとにそうなるの?
「離さないじゃなく、俺が離れるのが嫌。
ずっと、離したくないのは俺の方なんだ」
翔さんが? ふふっ、ほんとなの?
「どうしたら信じてくれるの?」
ごめんなさい、そんなに泣かしちゃって…!
僕のせいだもんね…!
なかなか言えない。
どうしてって言われても、言葉に出ない。
嬉しい気持ちと苦しい気持ち。
両方だから困っちゃう。
答えるべきなのは分かってるのに。
伝えなきゃ分からないのに。
僕は、何に迷ってるんだろう。
それが考えれば考えるほど分かんなくなってきた。
沢山考えたって無駄な気がしてきた。
だって、翔さんは真っ直ぐだから。
諦めないのが丸見えだもん。
多分、ここで断ったってまだまだ続くのも分かってる。
けど、僕の心と体がバラバラだから動かない。
気持ちは答えてあげたいし、一緒にいたいのに
どうして動かないんだろう?
勝手に涙は出てきちゃうし…!
凄く苦しいし…!
そんなこと考えてても翔さんはずっと抱き締めながら、僕の背中を擦ってくれてる。
そんな優しくしないで?
答えられない僕が悪いのに…!
「そんなに嫌?」
嫌なわけないじゃん。
だったら最初からキスも受け止めてないよ。
ぎゅっとされても拒否しないし、触られたって拒否しなかったでしょ?
すると、翔さんがゆっくりとキスをしてきた。
それを受け止め、また涙が溢れる。
どれだけ泣けば済むんだろう。
でも、僕に足りないものが分かった気がした。
僕に足りないもの…
それは…
簡単だった。
踏み出す勇気が足りなかった。
それだけだった。