新築分譲マンションの選択理由トップは、「新築だから」(58.0%)であった。
 新品と中古を区別するという意識は、自分の頭脳の中にも存在する。しかし、以前よりその意識は薄れているような気がする。

 自分の所有するパソコンやスマホには、フリマ(フリーマーケット)のアプリが幅を利かしている。所有している数台のパソコンの中には中古があるし、スマホも中古だ。
 最も大きな中古品といえば、今住んでいる分譲マンションである。

 最近購入したものは、15年ほど前のインクジェットプリンター。使っていたプリンターが故障し、ネットで新品を探し回ったが、最近の物価高騰で予想外に高くなっていた。
 とにかくも、「中古」を選択する理由は、アンチ物価高騰という意識である。
 
 さて中古分譲マンションの場合である。
 その購入重視点はどのようになっているのだろうか。
 
 (1)令和4年度住宅市場動向調査〈国土交通省〉
 *公表されているのは「令和4年度」が最新。
 *調査対象:2021年4月-2022年3月の期間に住替えを行った世帯。

 新築分譲マンションの購入重視点は、第1位「立地」、第2位「プラン」、「価格」は1,2位から少し離れた重視点になっていた。
 しかし中古分譲マンションにおいては、第1位が「価格」である。「立地」へのこだわりを超えて「価格」に対する意識が非常に高い。
 
 【中古分譲マンションの購入重視点】
 *選択率30%以上のみ表示
 1 価格 63.1%
 2 立地環境が良かったから 52.2%
 3 マンションだから 37.2%
 4  交通利便性が良かったから 35.2%
 5 デザイン、広さ、設備等が良かったから 31.2%

 さらに【中古にした理由】という質問もされている。圧倒的な理由は「予算」である。
 【中古にした理由】
 *選択率30%以上のみ表示
 1 予算 68.4%
 2 新築にこだわらなかった 38.2%
 3 リフォームで快適に住める 30.9%

 (2)LIFULL HOME'S編集部インターネット調査
 *中古マンションを5年以内に購入した317人に、購入に関する意識を調査。
 *2023年3月28日ー3月31日。
 *過去5年以内に中古マンションを購入し、検討に一定関与した20~69歳の男女(学生を除く)。

 HOME'S(ホームズ)は大手不動産サイトの一つである。
 5位までの【選ぶ決め手】を表示したが、「価格」が購入重視点であることは明らかである。
 
 【物件を選ぶ決め手】
 1 立地と価格のバランス 67.5%
 2 間取り 41.0%
 3 物件のスペックと価格のバランス 35.0%
 4 物件のきれいさ 29.7%
 5 価格の安さ 29.3%

 購入重視点を単純化すれば、新築分譲マンションの場合は「立地」、中古分譲マンションの場合は「価格」ということになる。
 分譲マンション市場をこれまで支えていた「価格」主導のボリュームゾーン層は、今や中古市場に移行しつつある。