土曜日の騒ぎから落ち着かない日曜が過ぎ、月曜日朝一番で市立病院。
市立病院では他の病院からの紹介状を持った人をたくさん診ている。
その日も熱がある娘はヨロヨロしながら私についてきた、受付を
済ませて人で溢れた待合でひたすら呼ばれるのを待っていた。
暫くして呼ばれたとき、すでに先生は厳しい顔をしていた開口一番
『紹介状の血液検査の結果だけでは・・・だから悪いけどまたここで
血液検査をして下さい、それと同時に腰から骨髄液を少し採らせて
もらって検査します』・・・「はぃ・・・わかりました」
もう、その時点では言われるがままだ、今なら分かる・・・しかし
その時は検査がどれだけ重要なのか、その意味さえ理解してなかった
かなりの量を(血液)採られた、何項目調べるの?っと思うほど何本も。
その血液検査が終わった後、先生に呼ばれた。
『いいですか、落ち着いて聞いてください。あなたは(娘)血液検査の
結果、血小板もものすごく少なく貧血もひどい、さっきやったマルク
(骨髄穿刺)の結果が時間がかかるから、詳しいことはそれからだけど
とりあえず急ぎで検査をしているので、これから自宅で待機してもらって
連絡しますので、それから治療の事など決めましょう』
看護師さんは明るく『近くのお店で時間つぶしてもいいよ』っと言ってきた
しかしぐったりしている娘は自宅まで15分もあれば帰れる距離だったので
帰りたいと言ったし、私もそんな状態の娘を連れまわす気にはなれなかった。
どうだろう・・・自宅に戻って3時間くらい待ってただろうか、夕方電話がなった。
『お母さん、検査の結果が出ました、とりあえず一泊の検査入院くらいの
荷物を用意してもらって来てもらえますか』あわてて荷物を用意した。
この自宅に居た数時間の間、娘はコタツに横になっていた、その時私は
見た・・・声も出さずに涙を流している娘、あの時何を思って泣いていたのか
私は一度も聞いたことはない『泣いても仕方ないよ、治療しなきゃ』
確かそんな言葉しか出なかった気がする、黙って頭を何度もなでてあげた。
病院についた時は夕方、普通の診察は終わっている、先生は淡々と話す。
『あなたの体で何かが起こっていて、血液が少ない状態になっています
血小板も少ないし貧血もひどい、これから色々様子を見ながら病名を
見つけていきます、まだ今の時点ではハッキリと確定出来ないです』
ここで先生は娘に『さっきレントゲン撮るの忘れたから車椅子で看護師さんと
行って来て』・・・娘は言われるがまま車椅子から私に手を振って看護師さん
と行ってしまった、すかさず先生が『もう・・・行ったかな・・・。』と廊下の奥に
消える娘を確認して私に話す。
『お母さん、あの子は歳の割りにしっかりしてますね、しかしこれはさすがに
本人には話せないので・・・血小板が少ない!つまり極端な事を言えば
あの子がここで転んで胸や頭をぶつけたら出血が止まらない、ハッキリ言うと
痛みの感じないまま・・・このまま終わりです亡くなります』
あぁ・・・なにこれ・・・ドラマ?映画?耳鳴りがする気が遠くなる・・・
しっかりしろ私!!ふと見ると先生の横に若い先生が座っています。
その方はカウンセラーの先生でした、きっとこんな場面で取り乱す方も
いるんでしょう、そのために居たんです精神科の先生。
でも実際の話、実感がない・・・その瞬間涙も出ない、そしてレントゲン
から戻ってきた娘はそのまま入院。看護師さんから『一泊と言うのは
ごめんなさい嘘です、暫くここでの入院という事になるので、いるものは
明日でも持ってきて下さい、どうしようかと思ってたけど無菌室が空きました
から、そこに入院して頂きます』えっ??無菌室・・・すでに娘は無菌室に
入らなくてはいけない状態その夜から血小板と(黄色)普通の輸血(赤)が
始まったのです。
病院で泊まる事は出来ない『明日また来るね』っと行って私は帰って行った。
自宅に着いたときはまだ1人だった、どんどん不安が押し寄せてくる私は
急いで母に電話をした『Aが入院しちゃった、血液内科だよ・・・輸血してる・・・
どうしよう』電話口でいきなりいい歳の娘が泣き出した時、母はどう思ったのか。
しかし母の口調は驚くほど落ち着いていた『まだどんな病気かも分からない
んだし、状態わかったから又連絡して』母との電話を切った。
次に兄に電話をした、兄とは不仲ではないが普段はそんなに連絡を取る
ことなどめったにない、多分母に言ったのと同じような事を話したと思うが
そこら辺の記憶がハッキリしない。とにかく泣きじゃくった。。。子供のように。
そしてもう1人、母の妹、宮崎の叔母に電話をした『おばちゃん・・・助けて』
なんとあの時返事をしてくれたのかも全く覚えていない、また泣きじゃくった。
暫くして次女が部活から帰ってきた、最初はその日の出来事を冷静に話して
いた私だったが急に怖くなって食卓で座っている娘の膝の上に抱きつくように
座って『どうしよう・・・Aが・・・どうなっちゃうんだろう・・・』子供のほうが冷静だ
『大丈夫だよ、そんな変なことにならないよ』本当は次女も不安だったかも
しれない、でも気丈にもそう慰めてくれた。そして沢山沢山泣いて私は決めた
病院では絶対泣かない!!娘の前では絶対に悲しい顔は見せないと。
つづく。