お久しぶりです。
今回は
宮島水族館のヒキガエル展示が
話題になっていたので
紹介したいと思います。
そのポストが
ヒキガエルは置物のようにじっとしていることが多いですが、何かのタイミングで動き出します。体調には問題ありませんのでご心配なく。#宮島水族館 #水族館 #みやじマリン #ヒキガエル pic.twitter.com/poitL2KvjC
— 宮島水族館【公式】 (@miyajima_aqua) 2025年10月18日
この投稿を見て
一部のユーザーからの批判されていました。
争点となっているのは
大きく分けて4つです。
・ヒキガエルはこのような大きな水量は必要ない
・温度 湿度について
・ヒキガエル自体が痩せているのではないか
・肉食魚との混泳をしているとヒキガエルが食べられてしまうのではないか
という点です。
これに対して
動物園の飼育員志望の僕が
思ったこと考えたことを
解説していきます。
Q1 水深について
ヒキガエルには原則として
深い水深は適していません。
自然下では
水深が深いところにもいることはあると思いますが、水深が深いことによって飼育下では
デメリットが数多く存在します。
1番大きいのは
溺死してしまう可能性です。
カエルは水の中にもいるので溺死するなんて嘘だろ、
と思われる方もいるかもしれませんが、
水の中にいるゲンゴロウなどの水生昆虫も
飼育下では溺れることがあります。
では、
具体的にヒキガエルが溺れる時は
何なのか
それは
水槽の中をレイアウトする上で
必要になるのは 石 岩 流木 など
水槽内をレイアウトするのに必要なものが障害となってしまい水面に浮上できない時です。
それを
中途半端においてしまうと
ヒキガエルが浮上できなくなってしまい
呼吸ができなくなってしまう可能性があります。
ゲンゴロウなどでも
とて流木や水草に引っかかり溺死することはよくある話です。
ただ
こちらの投稿を見てください↓
10/18にアップしたヒキガエルの動画についてお問い合わせをいただきました。公式ホームページに当館の飼育状況について掲載しておりますのでご覧ください。https://t.co/5UK3wE4Haf
— 宮島水族館【公式】 (@miyajima_aqua) 2025年10月20日
当館の飼育方針をご理解いただければ幸いです。#宮島水族館 #ヒキガエル pic.twitter.com/RQxtjjV0mU
この水槽のレイアウトを見ると
呼吸を妨げるような
位置に流木や石を置いていません。
そう考えると溺死の可能性は
限りなく低いと考えていいとは思います。
むしろ
普段見れない水中の展示ができるという点において
素晴らしい展示なのだと考えます。
ただし、
この水槽に強い水流装置をつけてしまうと
陸に登りにくくなってしまう可能性は
否定できないので
流れを作らないというのは
重要なポイントなのだと感じました。
Q2 温度 湿度について
この水槽の展示温度が
何度なのかがわかりませんが
イワナがいるということは
水温を冷たくしていると考えられます。
個人的な推測にはなるのですが
おそらく20℃以下で飼育されてるものと
思われます。
個人的に思う
ヒキガエルの適温は大体20℃〜25℃だと感じています。
何故20〜25℃が適温だと感じているかというと
20℃以下にしてしまうと
消化が遅くなってしまい、ガスが溜まりやすい
などのデメリットがあります。
そのため
餌の間隔をあけ 消化に十分な時間を与え
体型維持に取り組む必要があるのです。
湿度について
よくヒキガエルは完全に乾いた環境を
用意してあげる必要がある と飼育については
書かれています。
しかし
宮島水族館のこの展示には
完全に乾いた環境はありません。
完全に乾いた環境がないと
雑菌が繁殖しやすく 自家中毒になってしまったりエロモナス細菌系の病気にかかってしまうのではないか と思われる方もいるかと思います。
ただ、
水族館の濾過器具は
個人飼育に比べ物にならないレベルで
濾過をされます。
そのため
この環境はヒキガエルにとって適切な環境だと言えると個人的には感じました。
また、
水槽が広いので
多少湿気があったとしても
ヒキガエルの適した湿度を保つことは
十分可能である と考察することができます。
Q3 ヒキガエルが痩せてる?
これについては
痩せてないです。
そもそも
野生のヒキガエルはこんなものですし
拒食症になっていなければ大きな問題はないです。
飼育下と比べると少し痩せてるように
見えてしまいますが
虐待だ と批判をするのは
水族館の飼育員の方へのリスペクトに欠ける行動なのでやめましょう
Q4 イワナ 鰻との混泳について
大前提として
混泳に正解はないですし、これが間違いであると完全に批判するのはできないです。
そのため
イワナやウナギと混泳をさせて
問題がないのであれば
一つの正解である と考えます。
しかし
イワナは流れのある環境にいます。
あまりに流れを早くしてしまうと
前述した通りヒキガエルが溺れてしまう可能性
というのも否定できません。
そのため
イワナとヒキガエルを混泳させるのは
難しいなと感じます。
ただ
水流を作るメリットとして
渓流魚を複数匹で飼育すると
縄張り争いが起こりやすい という
デメリットを軽減する効果があります。
それを考えると
イワナは1匹しかないないので
必要以上に水流を作る必要がないため
ヒキガエルにもイワナにも適した環境に
なっていると考察できます。
しかし、
イワナなど渓流魚の飼育やヒキガエルを飼育している人からすると少し違和感のある展示には
見えてしまう というのもまた事実です。
それが今回の展示に対する違和感のようなものになると感じています。
結論
この飼育方法でも一つの正解ではあると思います。
しかし、
ヒキガエルの飼育のテンプレートからは
外れた飼育方法ではあるので
批判されるのも仕方ないのでは
と個人的には感じました。
皆様も
感じたことがありましたら
ぜひコメントしていってください‼︎
追記
追記 僕のXの投稿で
動物福祉を考えるならこの水槽の展示は
しない方がいいのではないか と投稿しました。
参考までにその投稿です↓
https://x.com/junyamanashi/status/1980577263914741904?s=46
この投稿に対して付け加えるとするのなら
イワナと混泳させることによって
水流を作ると呼吸がしづらくなり ヒキガエルに苦痛を与えてしまう可能性
水流があまりないことによって
イワナの運動量が減る可能性
この2点を考えた時に
両者にとって適した飼育になるのは難しい
と考えこのような投稿をしました。
最後に
この投稿で僕はこの展示の批判もしているわけですが、決して水族館に対して誹謗中傷をしたいわけではありません。 飼育には数学のような明確な解があるわけでもないので非常に難しい問題だと考えています。 この投稿を読んでヒキガエルやイワナにとっての適した環境とは、幸せとはなんなんだろうと考えて頂けたら幸いです。