ひょんなことから知り合った彼は、
透析を30年続けている人。



彼の好きな人は、
ジェフ・ポーカロ。

TOTOのドラマーであり、リーダーだった人。



そして今日、4月1日は、
そんなジェフの誕生日。



「今日はジェフの誕生日だね」

そう言うと、

「そう。だから今日はジェフ三昧。
まぁ、いつもなんやけどね」(笑)



たしかに、
いつもジェフ三昧なのは想像できる。

だからきっと今日も、
変わらずジェフ三昧。



今日は透析のない日。

一日中、ドラムに向き合っているんだと思う。



若い頃はバンドを組んで、
ライブハウスで演奏していた時期もあったそう。

でも、少しずつメンバーが辞めていき、
バンドは解散。

今は、ひとりで練習する日々。



本番よりも、練習が好き。

そう言う彼は、
地味な基礎練習をずっと繰り返しているそうです。



「基礎練をずーっとやってると、
ふっと軽くなる瞬間があるねん」


「一瞬だけ、掴めた気になる」


「でも、すぐおらんくなる」


「掴めたのに、消えるねん」


「それでもやってたら、また来る」


「その繰り返し」


「それを、いつでも出せるのがプロやと思ったら…
絶望すんねん」



ドラムには譜面があることも、
私はこのとき初めて知りました。



「リズム譜はあるよ。
でも、結局は“聴く”のが一番」


「同じ譜面でも、
演る人によって全然ちゃう音になるから」


「ドラムって、叩けば鳴るやろ?」


「誰が叩いても鳴る。
シンプルで原始的な楽器やねん」


「だからこそ、差が出る」


「同じセット、同じチューニングでオレが叩いても、
ジェフと同じ音には絶対ならへん」



「グリップが強すぎるし、
振りも硬い」


「わかってんのに、出来へん」


「上手い人ってな、
柔らかくて、力が抜けてて、動きがきれいやねん」


「あの動きやから、あの音が出る」



練習は、調子が良ければ5〜6時間。


ただ、透析の影響で、
手首に痛みが出ることもあるそう。

そうするとスティックが落ちてしまう。


思うように叩けない。

時間も限られている。



それでも、

やめない。

好きだから。

ただ、それだけの理由で、
叩き続けている。



その姿を見ていると、

とてもシンプルで、

とても強い生き方だなと思うのです。

 

 

 

by.Red Beat