本当に経験した怪異⑦足音 前編はこちら
http://ameblo.jp/39ra-510dama/entry-12280022852.html
一応、前編の簡単なあらすじ↓
退院した日に父と弟から夜明けにオバケの足音を聞いた話を聞かされた染井。
その翌朝、夜明けにふと目覚めた染井の耳に、やたら大きな足音が聞こえてきて戦慄する。
いつ聞こえだしたのか、ひょっとして足音で目覚めたのか、皆目検討もつかないほど自然な音であった。
しかし、うちの廊下は多少きしむものの、あそこまで大きな音は出ない。
擬音で例えるなら、普段の足音は『ギッ』とか『ミシッ』とか、短めでごく小さい音。
夜明けに聞いたのは『ミシミシィ~』とか『ギシギシィ~』という、やたら長く大きな音。
それが明らかに誰かが歩いているような、一定のリズムを保って聞こえてくる。
前日、父と弟の話を聞いていたお陰で、それがこの世の物ではない音であることは解った。
解ったところで染井にはどうすることもできず、ベッドの中でガクブルしていた。
金縛りに掛かっているわけではないが、あまりの事態に身じろぎ一つできずにいると徐々に足音が遠ざかっていく。
ああ、帰っていくんだ…。
と思ったものの、帰っていくと見せかけていつの間にか枕元に立っていたり、安心してトイレに行こうとしたらドアの外に立っていたりしたら嫌だな…(-_-;)という、妄想のせいで身じろぎ一つしないまま、いつしか再び眠っていた。
次に目覚めたのはいつもの起床時間。
起きて、身支度を整えて、朝食を採って、学校に行って…。
日常に追われて非日常の出来事など、あっという間に忘却の彼方にぶっ飛び、すっかり忘れていた。
思い出したのは夕飯を食べているとき。
隣で食事をする弟に「そういえば今朝、足音を聞いたよ」と言うと、彼は「またまた~」と笑って取り合おうとしない。
「いやいや。お前はアホか? 私が冗談を言ったり、嘘をつく回数はお前より遥かに少ないだろ? そういうことも考慮しろ」と言うと、弟は少し考えてから「どんな感じだった?」と聞いてくる。
「いつの間にか足音がしていることに気が付くような、自然な音だったな。あと、帰るときは三階の高さのまま遠ざかっていく感じ?」
そう説明すると、弟の顔色がサッと青くなった。
「…本当に聞いたんだな」
「え? なんで急に信じる気になったの?」
「だって、本当に聞いていなきゃ『三階の高さのまま足音が遠ざかっていく感じ』なんて言えないよ。デマカセだったら、階段を登り降りしてたって言いそうじゃん」
「…あー、なるほど」
コイツ、一応は物を考えていたのか…
感心しつつ、食事を続けた。
その後、我が家で不審な足音を聞くことは二度と無かったので、やはり前々日に亡くなったという両親の知り合いがお別れに来たようである。
しかし、その方はどちらかと言うと母と親しかったにもかかわらず、母は二日間何事もなく寝起きしていた。
どうやら母には霊感はないらしい…。
(霊感はないし、「オバケなんか怖くない」とか言うくせに心霊番組は絶対に見ない、本当は怖がりな母w)
終わり