同窓会の夜③ | 染井的趣味ライフ

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ドール沼の住人による、ドール沼のブログです。主にカスタムのメモにしていく予定なので、素体写真をあげていきます。ドールや生首や真っ裸が苦手な方はご遠慮ください。ドール以外に介護日誌と小説を始めました。

同窓会の日が近付くにつれて、俺は気持ちがたかぶった。

とにかく彼女に会って一言謝りたい。

許してくれなくても良い。

ただ謝りたいのだ。

そうすれば、息子に堂々と言える。

「父さんも昔、イジメてしまった事があるけど、相手にちゃんと謝ったぞ。お前も謝るんだ」と。

「やってしまったことは取り返しがつかないけれど、自分が悪かったことに気付き、反省して同じ過ちを犯さないことが大事なんだ」と。

そんなことを考えているうちに、ついにその日がやって来た。

都内にあるホテルの会場に行くと、まるで知らない顔の中に見知った顔がチラホラ見受けられた。

全員同窓生のはずだが、年月が経つうちに顔が変わって誰だか判らない。

名乗られて始めて判るヤツもいれば、面影が残っているヤツもいる。

そんな中、幼馴染みのタカポンを捕まえて話しかける。

「おう、久しぶりだな。最近どう?」というとりとめのない話から始め、やがて尋ねてみた。

「…なぁ、今日はサトミが来てるらしいな。誰だか判るか?」

タカポンは俺と一緒にサトミをからかっていた。

そのせいか、微妙な面持ちで室内の一角を指差した。

そこには黒いロング丈のワンピースと赤いショールに身を包んだ女性が、他の同窓生と談笑している姿があった。

俺が「…あれ、サトミか?」と尋ねると、「間違いないよ。名札に書いてあったし」とタカポンが言う。

小学生の頃は地味で目立たない小柄な少女にだったが、今やスラリと背が伸びて顔立ちも華やいで見える。

正直、ホッとした。

不幸になっていたらどうしようと思っていたのだ。

いや、彼女が不幸になっていても、それは俺たちがイジメたこととは関係がないだろう。

しかし、イジメた相手が幸せそうだと、何故だか安心した。

彼女が他の同窓生と話している姿を肴にするように、俺とタカポンはビールを飲み交わした。

                                                                    続く