密教の仏さまやその持ち物、お寺にある法具などに
よく金剛という名が付いていますよね

その「金剛」というのは何を表しているのでしょう?

関西では有名な山に金剛山、
高野山にある真言宗の総本山のお寺は金剛峯寺、
大きな力を金剛力、
仁王様を金剛力士、
などなど、なんとなく頑丈で力強いイメージの言葉かと思います

実は、密教において「金剛」とは大変重要な意味を持ちます

その名の通り金鉱石としてとても頑強なもの、
つまり「金剛石」で「ダイヤモンド」を表します

破壊することが出来ない最強、最高の宝石です

この宝石になぞらえて、密教を金剛不壊(こんごうふえ)なる
真実の智慧、やダイヤモンドに比する素晴らしい教え
と象徴的に表現されます

密教の教えは仏教=顕教(けんぎょう)と異なり
お釈迦様ではなく、大日如来を教祖としています

その教えが後世に伝えられた系譜を8人の祖師で
付法の八祖として重視します

よく真言宗のお寺に入ると本道の壁四方に描かれた
8人の祖師の絵が目に入ると思います

ちなみにご紹介しますと

大日如来
金剛薩埵(こんごうさった)
龍猛(りゅうもう)
龍智(りゅうち)
金剛智(こんごうち)
不空(ふくう)
恵果和尚(けいかかしょう) 
空海(くうかい)

2番目と5番目に「金剛」とつく名がありますね

大日如来はいわば宇宙の創造神の尊格でもちろん
人間ではありません
では次の金剛薩埵とは何者でしょう?

分かり易く言いますと、
大日如来の弟子でその教えを伝え広めた存在です

如来の教えを現実社会に教える役割、つまり菩薩です
心の修行を経て悟りに至る聖者のことで、
衆生の代表として人間界と仏界の間に立つ菩薩です

金剛薩埵は象徴的に手に法具を持っています

右手に金剛杵(こんごうしょ)、左手に金剛鈴(こんごうれい)
と呼ばれる法具を持っています

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金剛界曼荼羅・四印会の金剛薩埵

金剛杵とは両端に五叉の鉾がある法具です

五鈷杵(ごこしょ)、チベットではドルジェ、
ネパールではバジュラ、英語ではサンダーボルト(雷)
と表現されています

一方の五叉は如来の五智、もう片方は衆生の五欲煩悩
を表し、表裏一体の存在です
如来の慈悲の方便を表し、その加持力によって煩悩を
砕破します
またシンボルとしては、男性原理の象徴でもあります

金剛鈴は密教の修法時に用いる一種の楽器で、
諸尊を驚かし歓喜させる役割の法具です
大日如来の説法(般若の智慧)を表し、
衆生を救済する智慧を象徴しています
またシンボルとしては、女性原理の象徴でもあります


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真言宗金剛盤セット(金剛鈴、金剛杵、独鈷杵、三鈷杵)


金剛薩埵は手に象徴的に智慧と方便、そして、
男性原理と女性原理 を併せ持ち、
衆生に悟りへの道を説いているわけです

チベットではヴァジュラサットヴァと言います
ヴァジュラ=金剛杵 サットヴァ=薩埵 

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チベット密教のヴァジュラサットヴァ(金剛薩埵)  


このように密教世界では象徴的に「金剛」を重んじています

お寺に掛かっている曼荼羅図では、無数の仏尊が描かれていて
正直細かくて判りにくいと思いますが、一度注意深く
観察されてみてください
左側、金剛界曼荼羅の真中(成身会)、
上段の3枠のうち、左と右の枠内(四印会、理趣会)
に坐していらっしゃいます
一度探してみてください

kongokaimandara 
  金剛界曼荼羅 中上段

kongo3 
 ネパール・スワヤンブナート寺院前の巨大なヴァジュラ
 

合唱



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