夜、部屋を出て、デッキの上で月を眺めていました。

聞こえてくるのは、風の音だけ。
目を閉じると乾いた葉が落ちてくるかすかな音、そし
て夜気が体を包んでくるのを感じることができます。

ほんのわずかでも自然の中に身をおくことでわたしは
自分が持っている大事な感覚を思い出させるのです。
昨日「空の匂い、海の息吹」という本を読みました。
この本は、生まれながらにしてHIVキャリアの子供、
受刑者、虐待を受けた子供や女性、これらの人々がい
る場所を訪れ、季節ごとの自然美を人々と享受するA
AI(アニマルズ・アズ・インターミディアーズ)の
活動を、筆者レベッカレイノロズの目を通して綴られ
たものです。

さまざまな動植物や自然のオブジェに触れることで、
心を閉ざした人々が、遠い日の記憶や人間本来の自然
の感覚を取り戻していく過程は、人がいかに自然とと
もに生きているかを教えてくれます。
大地の美を愛でれば、
そこに命ある限り続く力の源を見出せる。
渡り鳥、潮の満ち引き、春を待つかたいつぼみ。
目に見えるその美のほかに、
そこには信じられる何かがある。
夜が来れば夜明けが訪れ、冬が終れば春がやってくる。
自然の反復には、夢幻の癒しがある。
The Sense of Wonder」レイチェル・カーソン