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  • 3種類の4回転ジャンプで、宇野が逆転優勝

 

ショート・プログラム(SP)では、得意技のはずのトリプル・アクセルが、本人が「練習を跳べていたという油断した気持ちが踏み切りに出た」と話す、高さの足りない中途半端なジャンプになって転倒。まさかの2位スタートとなった宇野昌磨でしたが、フリー・スケーティング(FS)では4回転ジャンプを次々と着氷。終わってみれば、地元カナダのキーガン・メッシングに10点以上の大差をつけての「スケート・カナダ」連覇となりました。

 
冒頭の4回転サルコゥこそ回転不足になりましたが、やはり勝因は3種類の4本の4回転ジャンプで、しっかりと得点を積み重ねたことです。3連続ジャンプではリンクに手を着き、サルコゥ+トゥ・ループの連続3回転では転倒と、終盤のコンビネーション・ジャンプでミスが続きましたが、このあたりは本格的なシーズンがまだ始まったばかり。大きな問題ではないでしょう。これからどんどん実戦を交えてプログラムを滑り込んでいけば、解決していくはずです。難度の高い4回転フリップをSP、FSのいずれも、大きな加点の付く内容で成功させるなど、演技全体で見れば宇野らしい演技ができていたように思います。

今シーズンから男子FSの演技時間が4分30秒から4分に短縮されて、8本だったジャンプが7本になる。4回転ジャンプの基礎点が引き下げられるなどの、大きなルール変更がありました。これまで7段階だった出来栄え点(GOE)も11段階へと拡大されましたが、その影響なのでしょうか。新シーズンが始まってから、ひじょうに目に付くのが、ジャンプの回転不足です。率直に言って、判定がかなり厳しくなっている印象です。大会の国内外を問わず、よほど完璧に回らないと、軒並み回転不足を取られてしまうとの声が、あちこちから聞こえています。こうした現状を踏まえて、選手たちがこれからのシーズンを、どのように対応していくのかにも注目です。

 

  • ジュニア時代から変わらない、質の良いジャンプを見せた山下


「スケート・カナダ」最大の驚きは、山下真瑚いきなりの表彰台です。シニアのグランプリ(GP)シリーズ初出場での2位というのは、05年の浅田真央と15年の宇野昌磨に並ぶ、日本勢最高位だったそうです。今年4月に、中京大中京高に入学した15歳。1位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)との点差は、わずか0.26。総合200点超えを達成しての堂々たる銀メダルでした。

彼女は宇野昌磨と同じ、山田満知子・樋口美穂子コーチの門下生で、昨シーズンの世界ジュニア選手権で3位に入ったほどの実力の持ち主ですが、全日本ジュニアやジュニアのGPシリーズといった主要大会で、じつは優勝したことがありませんでした。そのため山下と同じ学年で、14歳でトリプル・アクセルを成功させた紀平梨花の、陰に隠れる形になっていたように思います。ですが、今回の活躍によって、山下真瑚の名は一躍世界じゅうのフィギュア・ファンに浸透したことでしょう。

山下の長所は何と言っても、ジャンプの質の良さです。ひじょうに高さがあってダイナミックなのです。そのジュニア時代の持ち味をそのまま、シニアの大舞台でも発揮してみせました。出来栄え点でマイナス評価になったジャンプは、SP、FSそれぞれひとつだけ。ほぼノーミスだったのですから、たいしたものです。

それでいてスケーティングのほうは、ジュニア時代より全体的にレベルアップしていました。試合後のインタビューの様子などは、いかにも15歳といった不慣れであどけない口調でしたが、氷上で表現したものはひじょうに大人っぽかった。FSでは最終滑走だったのに、重圧などは感じていないよう。シニアで何年も戦ってきた先輩選手や世界女王に囲まれても、まったく遜色のない滑りができていました。ファイナル進出も夢ではありません。

 

以下略