世間では、塾の社会的地位は高いわけではない。

 

   通わせている親御さんでも「塾なんて」と言った方は正直少なくない。


   しかし、「塾なんて」とまでおっしゃる力量があるなら、なぜ通わせるのだろうか。


   なんとなく周りの子が通ってるから、という理由だけで、通わせてしまうのは

   子供がかわいそうでないか、とも思うのだが。


   塾なんて。→だけど、周りが行っているし、塾くらい・・・。→通わせる


   →私(親御さんなど)も勉強できたし、先生よりできるんじゃないかしら。子供に自慢


   →塾代ずいぶんかかるわねぇ。大したことやっているわけじゃないのに


   →通うのに慣れてくる。大分通ったわ。塾の中でも、先輩の方ね。いい気分


   →勉強が大変。分からなくなってくる。


   →私は勉強できたのに、息子娘ができないのは、塾のせい やめさせる。


   → 他塾に行く。結局できない。


    この無限ループは、どちらかというと、塾なんて、という姿勢に問題が出てしまうからじゃないだろうか。


   私自身、塾がそんなに素晴らしいかと言われると分からない。社会的地位も高くはないと思う。

   しかし、通わせる以上は、それなりの信頼関係を持って行こう、という姿勢を持った方が

   うまく行くのではないかと思うのだ。


   


  保護者の方や、生徒さんの説得で、明らかにこちらが間違っている場合は、正すのもたやすい。

  こちらが悪い場合もあるから、そういう場合は正しやすいのである。


  しかし、正すのが難しい場合もある。


  たとえば、講師はなんでも知っていなければならない、といった類の、困らせ屋である。


  人間だから、間違えることもあるし、記憶違いもあるが、そこに執拗に食いかかる。

  金払ってんのに、なんで間違えるんだ!である。

 

  こういう方たちには、間違えるやつ=教師だから、通わないで、独力で頑張ろう!

  という発想は生まれないんだろうか。そのあたりは、不思議である。

  しかし、金払って来てやってんのに、家でやれるなら、やれとは何事だ、

  とおっしゃりたくなるのも、分かるには、分かる。ただ、私はどうすればいいのか。


  こういう子・親の場合は、ともかく、勉強ができる人間が、はびこっていること自体が

  気に入らないという側面がある気がする。


  自分たちが勉強ができないから、できる人間がうとましい→ できるとはいっても知らないことあるじゃん!


  的な攻撃である。それをしたいのは構わないのだが、問題は、塾にお金を払って

  何をしに来ているのか、ということである。


  3分で合格できる方法を教えられる人はいるか知らないが、僕はそうではない。


  ここで! おまえは、どこそこの予備校の先生よりダメだ、ともしおっしゃるなら、

  その先生に教わりに行けばいいのだ。


  しかし、必死に私にしがみついて、文句を垂れ続ける。


  彼らは結局、塾なしでは、勉強ができないのだろう。


  塾でやる勉強が、「それ家でもできますよ」といって、家でやっていたら、

  もっと成績がいいはずではないか。


  家でやらないから、塾に来る羽目になって、家でできることを塾でやらせているだけにすぎない。


  家でもできるけど、塾の方が集中できていいですね、とお世辞でも言っていただけるご家庭のほうが

  成績アップ率も高いし、塾に来た甲斐がある場合は多い。

  それでもこちらの力足らずのこともあるとは思う。


  


 世間の親御さんが、自分の娘息子がかわいい、というのはすごく分かる。


 しかし、塾の先生の言うことをしっかり聞いて頑張っていこうとうい「ムード」がない限り、

 塾での勉強が成功に至ることは非常に少ないのではないだろうか。


 非常に困るパターンで多いのは、

 お客様(生徒さん、親御さん)の主張が正しい、お前(私のこと)の考えや、実力はおかしい、

 とおっしゃられることである。


  私の考えを一生懸命、説得して、変えようとされるタイプの方である。


  たとえば、大学受験で、一日3時間くらい勉強するのは、どんな中堅私大を目指すにしても

  必要な勉強時間である。


  それを、週3時間でなんとかしてほしい、と言われる。


  たとえば、中学受験は、ふつう準備に3年かかりよほど優秀な生徒でない限り

  一年では少ない。そこを急激にアップしてほしい、とおっしゃる。


  塾に通う子の中で、家の子を、ヒーローにしてほしい、とおっしゃる。


  こちらは、受かってほしいから、キツイことも言うのだが、そこはプロだから、

  勉強時間を少なくして、受からせてほしい、とおっしゃる。


  しかし、一般的に言ってそうではない(勉強時間は、必要条件。十分条件ではない)ことを

  そうだ、というのは、こちらも大変である。


  うちの子の方が優秀なんだから、もっと持ち上げて、称えなさい、とまで来る。


   それは構わないが、はたして、なんのために塾に来ているのか。


  こちらは、教師だから威張りたい、というわけでもない。

  ただ、いろいろ研究成果を示して悦に入りたい部分もあると思うし、

  それは塾の講師のだいご味だ。それは捨てて、うちの子をたたえてくれ、

  といわれると非常に困ってしまう。


  成績も上がっているのに、「受からせるのが仕事」だ、と言われてしまう。

  成績が上がっている=合格に近づくは、自明の論理なのに、

  もっと早く実力をつけてほしい、とおっしゃる。


  そうやって、塾に多大な注文をつけて、講師を疲れ果てさせ、

  こちらのアドバイスも聞いていただけないのは、合格を目標とするなら、

  それに向かった努力を放棄していると同じなのである。