「ありあまるほどの、幸せを」 115 | 空に揺蕩う 十時(如月 皐)のブログ

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「確かに、アシェル殿とお呼びするのは少々他人行儀ですね。妹君である王妃殿下の御許可も頂けるのでしたら、ありがたく」

 ほら! フィアナがあんなことを言うから、ルイがそれはもう素晴らしく輝いた笑顔を浮かべているじゃないか!

(だいたい何で僕の名前なのにフィアナの許可を貰うんだッ。普通は僕に許可をとるだろうッ!)

 では請われたら許可するのか? という疑問は遥か彼方に放り投げ、アシェルはムッと顔を顰める。そんなアシェルにそれはそれは素晴らしい笑顔で近づいたルイは、アシェルの前に膝をついて、そっとその手に触れた。

「アシェル」

「ッッ――」

 甘い、それはもう蜂蜜と砂糖を煮詰めたような甘い声で名を呼ばれる。たったそれだけのことに何故だか暑くなって、しらず顔が真っ赤になった。