原爆投下直後の広島・長崎 旧ソビエト撮影の映像公開

8月4日 14時25分NHK
原爆投下直後の広島や長崎を旧ソビエトの調査団が映した映像が初めて広島市に提供され、4日、原爆資料館で報道関係者に公開されました。
映像は、ロシアのプーチン大統領側近のナルイシキン下院議長が、ことし6月に来日した際に安倍総理大臣に寄贈しました。外務省から広島市に映像が提供されたことを受けて、4日に原爆資料館が報道関係者に公開しました。映像は全部で4分58秒あり、広島で撮影された映像が1分29秒、長崎で撮影された映像が2分28秒、核実験の様子を撮影した映像が1分1秒映っています。

このうち、広島の爆心地付近から北方向を撮影した映像は、原爆が投下された昭和20年の秋ごろに撮影されたとみられています。一面に広がるがれきの奥に、爆心地からおよそ150メートルの距離にあった、広島護国神社の鳥居が映っていて、原爆がもたらした被害の甚大さがうかがえます。

旧ソビエトが撮影した映像が原爆資料館に提供されるのは初めてで、資料館は来年2月に東館がリニューアルオープンするのに合わせて、一般公開することも検討しています。原爆資料館の加藤秀一学芸課長は「旧ソビエトが撮影した映像が残っているとは思っていなかったので驚いています。今後、さらに多くの映像が提供されることを期待するとともに、ロシア側に提供する意向があるならぜひ現地に調べに行きたい」と話しています。
長崎でも映像を公開
映像は長崎市にも提供され、報道関係者に公開されました。長崎市内の映像はおよそ2分間で、原爆投下のおよそ1か月後の9月16日に、爆心地からおよそ200メートルの場所で撮影されたとみられています。映像には、爆風と熱線で建物が崩れ落ち、骨組みがむき出しになった三菱製鋼の軍需工場や、旧ソビエト軍の関係者が爆心地付近の状況を視察している様子が記録されています。

長崎市によりますと、原爆投下後に地上で撮影された長崎市内の映像としては、アメリカ軍が9月8日と9日に撮影したとされるものがあり、今回の映像も当時の状況を知るうえで貴重な資料だということです。長崎市被爆継承課の松尾隆課長は「被爆直後の様子を記録した映像は少ないので、原爆の悲惨さを後世に伝えていく資料として活用していきたい」と話しています。この映像は、長崎原爆資料館で5日から一般公開されます。
~NHK