毎日のわれわれの暮らしの中に、政府の政策は大きな影響を及ぼしている。


そして、無党派層は、決して政治に無関心な層とイコ━ルではない。


各政党と直接的な利益の共有がないから、その時の情勢によって、自己の利益になるように選挙の投票を行う人達だ。


その人達の投票によって、選挙の結果は大きく変わって来る。


現在、自民党が優勢な状況にある、日本の政治だが、自民党候補者に投票をした人が、必ずしも自民党を絶対的に指示しているわけではない。


世論調査では、自民党に投票をした人の理由の第1位は、「他の政党より良さそうだから」だそうである。


一見賢い選択のようにも見えるが、それしか選択肢がないという、自民党に取っては実に都合のいい理由で投票している状況に、岸田首相を始め、自民党議員は口では色々といいことを言っているが、内心はしめしめと思っているのではなかろうか。


だが、それが自民党に投票する理由の1位になるのは、


「どの党もマニフェストでは、いいことを言っているけど、野党がいざ現在の政権政党に取って代わった時に、自民党より良い政治が果たして出来るのか?」という、過去の政権交代時代の現実を見ながら判断すると、現状に不満だからと支持政党を変えて、野党の与党化を実現したのに、却って以前の与党の時より悪くなったという現実が、国民に強く政権交代を強く望まなくしている理由であることは間違いない。


イギリスやアメリカのように、二大政党制であれば、AかBかの2つの選択肢の中から選ぶだけだから、比較的選択しやすい。


次の選挙(2024年末)で、A政党が政権を取るか、B政党が取るかは、どちらかに投票した自分の選挙後の生活が、選挙前より良くなったかどうかの判断によって決まる。


選挙前の演説でA政党の大統領候補に期待して票を入れて、A政党の代表の大統領が政権を取ったが、実際に政治を行ったら、期待したような事は起こらず、却って生活の質が悪くなったとさたら、党の基本精神(アメリカなら保守か民主か)に対して、自分の考え方がどちら寄りかが変わらな意図しても背に腹は代えられない、。生活が少しでも良くなることを期待して別の党の次の新しい投票候補者の中から大統領候補を選ぶ(実際に投票するのは、大統領を直接選挙する選挙人に投票する間接選挙だが)かもしれない。


反対政党の候補者にとって、与党の失策はしめしめである。


だが、日本の場合は、国会議員は国民が直接選挙をして選ぶが、その後は、我々の意志とは無関係に、与党になった議員により総理大臣が選ばれ、更にその人が内閣を組織する。


そういう日本の議院内閣制という政治制度と比べると、米国の大統領を選ぶ選挙制度の方が、同じ間接選挙ではあるが、より自分が国のトップを自らの意思で選んでいるような気持ちになれるのではないだろうか。


米国民は、自分の支持政党が変わらなければ、頭の挿げ替え(大統領候補の取り替え)によって、自己の支持政党の政権を維持しようとする。


しかし、党の基本精神より、自分の生活が今より良くなるかどうか(具体的には、経済的に、福祉政策的に、前よりいい生活が出来るようになるかどうか)が、大統領候補者を選ぶ際の基準になる。


実際は、米国の大統領選挙は間接選挙で、各党の選挙人に対して投票を行う。


この選挙で選ばれた選挙人が、直接選挙をして、270人以上の選挙人を獲得したほうが大統領に選ばれる。


この選挙人の総数は、全米で538人で、各州ごとに人口比率によって、選挙区数が割り当てられている。


カリフォルニアのように、人口が4000万人近くいる州には、52の選挙区が与えられ、各選挙区で、それぞれ1人ずつ選挙人が住民の選挙で選ばれ、カリフォルニア州全体では52人の選挙人が選ばれる。


そして、次は、カリフォルニア州全体でカリフォルニア選挙人選挙が行われ、1位になった選挙人がもし民主党なら、他の選挙人がすべて共和党支持者だったとしても、「1位総取り」の原則に従って、カリフォルニア州では残りの51人の選挙人を民主党が横取りすることになる。


これが、米国大統領選挙の特殊な点で、死票が多く生まれる。


前回の2020年の大統領選挙で、ヒラリークリントンが、全米国民の支持票数では、トランプに勝っていたのに、元々は、政治経験が全く無く、共和党内でも泡沫候補からダ━クホ━ス的な存在だったトランプに、選挙で負けたのは、この選挙人制度を上手く利用したトランプの方が、選挙の戦略的には上手(うわて)だったということを証明している。


日本の小選挙区制と同じ弊害である。


日本で、小選挙区制を提唱したのは自民党時代の総理だった海部俊樹である。


それまで行われていた、中選挙区制では1つの選挙区内に3〜5人の当選者が割り当てられるため、自民党内で派閥抗争による、同じ自民党内の立候補者が同じ選挙区で戦い、同じ自民党議員同士が同士討ちとなる場合があり、野党候補が一定数当選し、片や自民党同士で多数立候補した選挙区では、他の同じ自民党の候補者の共倒れになったり、他の自民党候補に勝とうとする余り、金権政治(賄賂による票取り)の温床になると批判されていた。


しかし、小選挙区制は、同じく推進派だった羽田孜に小泉純一郎が猛反発し、導入は見送られた。


たが、その後の1994年に公職選挙法改正があり、小選挙区比例代表並立制(小選挙区300、比例代表200)が導入され、1996年の衆院選から実施された。


しかし、小選挙区制に代わって、多くの選挙区が、1選挙区1人当選者の選挙区に変わったため、与党に圧倒的に優位になり、他党の候補の死票が増えるようになった。


確かに、二大政党制は、政権交代しやすい制度だが、どちらかの政党だけが絶対的に正しいなどと言うことはありえない。


トランプが大統領に当選した時に、本来無所属で貧困層の福祉政策を推進していた、バ━ニーサンダ━ス氏は、民主党から立候補していたが、「共和党と民主党は、同じ穴のむじな」と言っていた通り、どちらも長所と欠点を併せ持っている。


そして、最終的には、支持者が多く、選挙戦略(犯罪に値しない程度のネガティブキャンペーンも含めて)に成功したほうが、勝利を勝ち獲るのだ。


だが、選挙で勝った人間が、本当に良い政治をするとは限らない。選挙の時になりふり構わず色々な手を使い、有権者の心を摑み、たまたま勝利者になったに過ぎない。


その人が大統領として、どういう役割を果たしたのかは、いずれ歴史が証明することになるだろう。


だが、隠されている多くの事実があるため、すべての大統領の功罪が公になっている訳ではない。


閑話休題


日本に於いては、一時的な政権交代はあったものの、やはり戦後は、圧倒的に、長期間自民党政権が日本を支配し、国民を牽引して来た。


その中で、政治的なリ━ダ━シップを正しく発揮できないで、多くの弊害を生み出し、様々な法律に一見いいような文言を明記しながらも、一方で経営者側におもねり、それとは正反対の法律の内容を同時に盛り込んだり、特別法を作り、あるいは法律の凍結(トリガ━法)をし、労働問題、防衛問題、財政問題等で、国民の間に経済格差を生み出す一方で、防衛予算の大幅な上昇、法律で禁止されているよりも大幅な債務超過の予算を計上し、最終的なしわ寄せを国民に負わせようとしていることは、将来的にみて、国民にとって大きな不幸である。


それにも拘らず、自民党が公明党と連立を組んで与党でいられるのは、国民が「他の党よりは良さそう(まだ増し)だから」という、批判をしながらも、一時金の支給や、付け焼き刃の、その場限りの選挙対策のための方針を良しとしている、国民の政府の政策に対する追従意識(やはり、眼の前の支給金に騙される)のためだろう。


それだけ、現状の生活に窮々としているということを顕している。


そんな選択をしなければならないようにした張本人が、自民党であっても、その政策により経済格差の負け組に陥り、政府の救済策に見せかけた一時給付金に頼らざるを得ない、中流層以下の国民の生活に、「百姓は生かさず殺さず」と言った、江戸時代の幕府の政策を重ね見るのは私だけだろうか。


あれから明治維新を経て、100年以上も経ち、国際的に世界各国とそれぞれの政策について様々な交わりを持って、学びの機会も増えているはずなのに、日本の為政者の国民に対する意識の本質は、100年以上経っても、政治の世界は江戸時代とものと、相変わらず本質はそれほど変わっていないのというのは情けない話だ。


政治屋よりも、遥かに国民のほうが賢くならない限りこの国は変わらない。