得体の知れない“オレ”の、酷く禍々しい雰囲気に怯み、奥歯をガチガチと鳴らしながら震える姿に、嗜虐心が燃え盛る。
オマエにも、この可愛い姿が見て取れたみたいだな?
震える表情から迷いは静かに消えてゆく。
オマエが、『最上さんには無理だ!』と庇い逃がそうと、それでいて縋り付くような顔を除かせたりしなければ、この娘は『やっぱり、私にはできません。』と引き返せたかもしれないのに。
(キミが絶ち去る想いは、これから始まる宴の糧になるか・・・クククッ。さて、どう答える?)
「・・・・・・わかりました。・・・いい・・です。
これから2週間、何があっても絶対に貴方から離れません。
でも、担保には・・・担保は何をさしあげればいいでしょう?逃げないと信じていただくにはどうしたら?
私は高価な物を持っていませんから・・・如何ほどの価値とも知れませんが、今すぐこの脚を折ればいいでしょうか?」
聞こえたか・・・?予想通りの模範解答だ。
オマエが、ムダに刹那の主張をしたせいで、『できない』と答えることは“敦賀蓮”を消滅させると覚らせた。オマエを微かに感じさせ、最後の最後で『できない』と言えなくなるよう追い込んだのはオマエだよ?そう望んだ、違うか?これは、オレだけの責任(セイ)じゃない、オマエの責任でもある。
もう、オマエには後戻りも後悔も・・・勝ちもないぞ?
「うん・・・そうだね。自分じゃ加減ができないだろう?オレが粉々に砕いてあげるから、ね。」
(如何ほどの価値、ねぇ?・・・その身で学べばいい、これから幾らでも教えてあげる。)
「はい・・・お願いします。」
(流石にこれくらいじゃ、もう動揺すらみせないか。脚がなくなることに、明日への不安がないわけじゃないだろうに・・・完全に受け入れるのか。ゾクゾクするな・・・)
「フン・・・生憎、そんなことは望んでないよ。
現実そうはいかないだろ?キミは女優サンで“セツカ・ヒール”を演じなきゃいけない。オレは、フェミニストな“敦賀蓮”だしね?
そもそも、脚を折ったりしたら、すぐに社長から強制的な離別を言い渡され、明日には終幕しか待ってない、だろ? くすくす。 」
100点満点の模範解答に気分を良くし、板に付いた“敦賀蓮”の仕草をなぞる笑みや話術で、気安めの麻酔を施し、優しく甘く牙を突き立てる。
「オレはね、キミの背中にある、その透明な羽が欲しい。『キョーコちゃん』の羽は、光を集めて煌めくとっても綺麗な羽だね・・・。」
ジリジリと詰めていた距離を一気に限りなく0にする。オレの腕が、その細い身体には触れないよう細心の注意で掌を背中へとまわす。そこに然も羽が在るかのように、その背中に熱だけが伝わるよう空気を撫でる。
「・・・!?・・・・・・ 」
徐々に思考を蝕まれている証拠に、こんな気安めに拐かされ、無防備にキョトンと惚ける表情が、まさに捕食するこの瞬間に、酷く不似合いで大声で笑いそうになるのを堪える。
(笑うのはまだ、だ。もうすぐ言質を得る。)
「 くすくす。 この羽を捥(も)いで、ここまで墜ちてきて。その羽をオレに頂戴・・・?」
「・・・羽、ですか? 私が差し上げられるものであるなら、どうぞ。羽でも、何でも構いません・・・。それに、離れないと言ったからには、貴方のいるところへ行きますよ?」
もう・・・・・・この牙は決して抜けない。一気にオレを解放する。
「そう・・くれるんだ・・・。っ ハハハハハハッ!!
・・・オレは、ホントに嬉しいよ!!
キミは痛みにとても強いだろう?だから、どんなに痛めても悲鳴さえ聴かせてくれそうにない。脚を砕いたところで“壊れて”しまわなきゃ、何も面白くないんだ。
どうせなら、痛みじゃなく快楽を与え、オレに酔わせて、我慢できない欲望に恐怖させたいね。その恐怖を覚えたら、意識を発散して“逃げる”ことくらいなら赦してあげようかな? クククッ。」
「?!?!?!・・・・・・・・・」
(思考の小部屋に入ったか?・・・今さら逃げ道を探しても、もう遅い!!)
「準備いい『キョーコちゃん』? これから担保を貰うから、今夜はまだ、気を失ったらダメだよ?ちゃんと起きていてね・・・・・・」
---つづく---
フラグたってからが長すぎでしょうか;
次回・・・こそ、頑張りますっっっ!!
