父は2011年を無事に生きて迎えた。

12月中に退院をし、家族と共にクリスマスも楽しんだ。

正月にも集まった。

状態は、入院前と変わらず、半分寝たきりだ。

だが、変化はあった。

入院前の父は、生きる力を失い始めていた。覇気がなくなり、歩く姿も影が薄く、今にも消えてしまいそうだった。

身長は175cm余り、昔は90kgを越えていた巨体は、今や60kgを維持するのがやっとだ。

体の骨がほとんど浮き出て、脂肪も筋肉もない。目にも力はなかった。

いつ旅立ってもおかしくなかったのだ。

ところが、入院中に、不思議と父は生きる気力を取り戻してきた。目に力が宿り、話す言葉に強さがこもり始めた。

何が父をそうさせたのかは分からない。

しかし退院した父は、しっかりと地に足がつき、生きようとする姿に変貌した。

私は改めて思う。

父はいつ死ぬのか。

いや

父は

いつまで生きるのか。

私は

どちらを待ち望んでいるのだろう?
父はまだ、生きている。
ところが、父は軽傷だった。

頭の傷は、骨に異常もなく、脳内出血もなかった。

元々あった腰痛はひどくなり、歩くことができなくなるほどだったが、これも骨などに異常はなかった。

しかし、起こった問題は、尿が出ない、というものだった。

父は今年の初めに腰痛で入院した時も、排尿の困難さを訴えていた。

腰痛は治療や手術は決定打がなく、そのまま退院となったが、排尿に関しては、手術をした。

狭くなっていた尿管にステントという、管を拡げる役割をする、ストローのような器具を入れた。

それが今回、転落の衝撃で、ずれた。

父が救急車で運ばれた病院は、市内の大学病院だ。

今年の初めにステント手術をした病院は、同じ市内だが、違う総合病院だ。

怪我の状態は軽い、と診断を下した大学病院は、総合病院への転院を決めた。

夜中の転落から2日後、父は転院した。

尿道ステント手術は簡単な手術だと、父も母も言った。

前回も言っていた。そして、無事に終わった。

今回も簡単なんだと言った。

私は

弱い。

怖い。

逃げ出したい。

目をつぶってしまいたい。

大声でわめきたい。

泣いてしまいたい。

その手術は

これから始まる。

2010年12月6日午後3時。

もう一度問おう。

父は、いつ死ぬのか。