📖 前回のあらすじ
股間の激痛から生還した三郎を囲んで大爆笑する一行。そんな中、駄菓子屋の店頭で佇むクラスメイトの内田を発見する。内田は12歳の頃にクリアできなかった「10円新幹線ゲーム」に手持ち最後の10円玉を賭けるか、チロルチョコを買うかで本気で悩んでいた――。
【第三十五話】
救世主内田と全員の運命
「そうや! ええ考えがある!」
10円玉を握りしめて固まる内田の背中を見つめながら、竜二がポンと手を叩いた。
「このゲームをクリアできへんかったら、俺たち六年三組全員、現代の2026年に帰られへん……そう思って打ってみたらどうや?」
「うん、良い考えだな! これなら緊張感があって集中できるんじゃないか?」
健一もノリノリで乗っかる。
それを聞いた内田は、ガタガタと肩を震わせながら、ゆっくりと健一たちを振り返った。
「えっ……!? つまり、この六年三組の運命は、俺のこの十円にかかってる……っていうか、俺にかかってるってこと!?」
「ちょっと、大袈裟じゃない!?」
委員長の松田が腕を組んで呆れ顔で割り込んできた。
「たかが十円ゲームに私達の運命を賭けるなんて、バカげてるわ!」
美由紀もフッと鼻で笑いながら続ける。
「そうよ、気軽にゲームした方が良いって。力入れると、三郎君みたいに痛い目あうわよ」
「今、俺の件は関係ないやろがい!」
竜二の後ろから三郎が身を乗り出して抗議する。薫もくすくす笑いながら助け船を出した。
「私もそう思う〜。クリアできなくても別に良いじゃない。楽しまなきゃ!」
女子組の冷静すぎる正論が飛び交う中、竜二は内田の肩を両手で力強く掴んだ。
「いいか内田! 女子の言う事なんかほっとけ! 全ては君にかかってるんや……頼んだぞ、俺たちの救世主!!」
「救世主……!」
その響きに、内田のメガネ奥の目がキラリと輝いた。
すっかりその気になった内田は、右手で大事に握りしめていた10円玉を高く掲げ、10円ゲームの投入口へと向かった。
「よし!! 六年三組みんなのために……俺は絶対に博多(ゴール)まで辿り着いてみせるーーーッ!!」
たった10円のコインに、昭和と令和を超えた壮大なドラマ(?)が託された瞬間だった――。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
さあ竜二にそそのかされた内田君は50年の時をへて10円ゲームクリアなるか?
それでは、また次回の『六年三組のタイムカプセル』でお会いしましょう!
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……!
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