📖 前回のあらすじ

新幹線ゲームに失敗した内田を慰め、駄菓子を分け合いながら夕暮れ道を帰った日曜日。週が明け、下校時刻を迎えた男子たちは、ランドセルを揺らしながら「あの季節の思い出」について盛り上がっていた――。



【第三十七話】          男子の下校道と、50年前のチョコレート


「そういえばさ、タイムスリップする前バレンタインデーだったじゃん?」

下校途中の赤い夕暮れ道。健一が思い出したように口を開くと、隣を歩いていた竜二、三郎、太陽、そして内田がピクッと反応した。

「ああ、そういえばそうやったな! タイムスリップしてバタバタしてたからすっかり忘れてたわ」

竜二が頭をかきながら笑うと、三郎が誇らしげに胸を張った。

「ふふん……俺は50年前のあのバレンタインの日、なんと机の中に『不二家のハートチョコレート』が入っとったんやぞ! 超ウルトラ大勝利や!」

「えっ、マジで!? 三郎、お前チョコ貰ってたんか!?」

内田が羨ましそうに声を張り上げると、健一も当時の記憶を手繰り寄せるように頷いた。

「俺も貰った記憶あるな……箱に入ったナッツチョコだった気がする。誰からだったかは最後まで分からなかったけど」

「僕も貰ったよ。ハートの形をしたチョコレートで、中に可愛いメッセージカードが入ってたんだ」

太陽が爽やかな笑顔で振り返ると、内田がガックリと肩を落とした。

「うわ〜……みんな凄いやん。俺なんか50年前もチョコゼロやったで。お母さんから『はい、不憫だからあげる』って渡されたチロルチョコだけや……」

内田の切ない自虐にみんなで笑い合っていると、ふと健一が全員の顔を見回した。

「……あれ? 宮本(竜二)は? 50年前、チョコどうだったっけ?」

尋ねられた竜二は、ピタッと足を止めた。そして苦虫を噛み潰したような顔になり、明後日の方向を向きながらそっぽを向いた。

「……知らん。そんな昔のこと覚えてへんわ!」

「あ、怪しい……! 宮本、もしかしてゼロだったんじゃないのか!?」

「うるさいわ! 内田! 人の古傷をほじくり返すな! 俺は……俺はただ、チョコより煎餅派だっただけや!!」

竜二の必死すぎる虚勢に、男子全員が大爆笑に包まれる。

「よし、俺はこっちだから! じゃあなみんな!」

「おう、また明日な!」

交差点で一人、また一人と別れていく。最後に残された竜二は、みんなの後ろ姿を見送りながら、一人ぽつんと取り残されるのだった――。



今日も最後までお付き合いいただき、  ありがとうございました!


バレンタインデー私には無縁でした。えーん

内田君の気持ちわかります。

私も母親から貰ったくちです。


それでは、また次回の『六年三組のタイムカプセル』でお会いしましょう!


サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ


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