📖 前回のあらすじ

50年前のバレンタインの悲劇(チョコゼロ)を思い出した宮本。独り身の虚しさに耐えかね、まさかのチョコ獲得者・三郎への理不尽な嫉妬を爆発させるが、令和に残してきた大切な妻・咲ちゃんへの愛を再確認し、夕日の中を力強く走り出す――。



【第三十九話】           女子たちの秘密と、昭和の夢


男子たちが男子なりの「バレンタインの思い出」で騒ぎ立てていた頃。

少し遅れて校門を出た松田裕子、水野薫、佐藤美由紀の三人は、冷たい北風が吹き抜ける下校道を並んで歩いていた。

「相変わらず三郎君って変わってないわね。50年前と同じように『アチョー!』って叫んだり、走り回ったり……ほんと世話が焼けるわ」

美由紀が呆れたように小さく溜息をつくと、隣を歩く裕子がクスクスと笑い声を漏らした。

「でも、50年前もそうだったなーって思い出したわ。美由紀がいつも三郎君の世話を焼いてたのを」

「薫だって、今日の算数の授業の時、健一君が先生に前に呼ばれた時、心配そうに見ていたじゃない」

「えっ……そんな風に見えた……?」

図星を突かれた薫は、ポッと頬を赤らめて伏目になった。美由紀はさらにいたずらっぽく裕子を振り返る。

「裕子だって、太陽君が証明の問題を黒板でスラスラ解いた時、うんうんと頷いて笑顔だったし!」

「そうかなぁ〜、私、そんなことしてたかな……?」

「してたわよ!」

「まあまあ……これは三人の『初恋の秘密』としてね。現代(2026年)ではもう過去の話なんだから」

薫が優しくフォローすると、美由紀もフッと表情を緩めた。

「そうね。私たちがタイムスリップして戻ってきたのはバレンタインの1週間後だったけど……50年前のあの日に渡したチョコのことは、三人の秘密だよ?」

「わかってるよ、誰にも言わないよ。ね、裕子」

薫と裕子が顔を見合わせて頷き合う。50年前のあの日、男子たちの机の奥に密かに忍ばせたチョコレートの送り主は、三人だけの永遠の秘密だった。

「あ、そうだ! 私、今日帰ってから英語教室だったんだ。明日遊びましょうよ」

裕子が思い出したように手を打つと、薫が嬉しそうに頷いた。

「いいよ! 私と美由紀ちゃんも、帰ったらオルガン教室だから」

「裕子は、なんで英語教室に通い始めたの?」

美由紀の問いかけに、裕子は少し誇らしげに胸を張った。

「ドラマの『アテンションプリーズ』を見てね、CA(スチュワーデス)になりたいと思って。お母さんに話したら『将来海外に行くなら、英語を勉強した方がいい』って勧められたの」

「へえ〜! CA(スチュワーデス)さん、格好いいもんね!」

「私は幼稚園の先生になりたくて……」と薫が微笑むと、美由紀も「私も!でも三人共違う道に行ったけどね」残念そうに言った。

「私達の子供の頃の憧れって、CA(スチュワーデス)さんか、幼稚園の先生か、ナース(看護婦さん)だったよね」

昭和五十一年。十二歳の少女たちの胸には、それぞれの甘酸っぱい初恋と、輝かしい未来への夢が詰まっていた。

「それじゃあね、バイバイ!」

夕暮れの交差点で手を振り合い、三人はそれぞれの家へと帰っていくのだった――。



今日も最後までお付き合いいただき、  ありがとうございました!



ドラマ「アテンションプリーズ」懐かしいですね 紀比呂子さんのCAさん姿

綺麗でしたね

貴方の子供の頃の夢は叶いましたか?おねがい


それでは、また次回の『六年三組のタイムカプセル』でお会いしましょう!


サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ


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