【はじめに】
はじめまして。このブログにお越しいただき、本当にありがとうございます。
私はずーっと昔から、「いつか自分の書いたお話で、読んでくれた皆さんが少しでも元気になってくれたらいいな」という夢を持っていました。
なかなか勇気が出ませんでしたが、今回、ようやく形にしてお届けできることになりました。
何分、初めて小説を書くものですから、文章の中に矛盾や間違いも多いと思われますが、どうか温かい目でご了承いただけますと幸いです。
この物語は、昭和51年の大阪・平野(ひらの)の街にいた「六年三組」の仲間たちの、50年にわたる笑いと涙、そして奇跡の約束を描いたお話です。
それでは、第一話のはじまりです。ゆっくり楽しんでいってください。
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第一話
六十二歳の冬。俺の人生は、あっけないほど簡単に足元から崩れ去った。
業界最大手のシール会社の一室。
ガラステーブルを挟んで俺の前に座っているのは、ひと回りも年下の人事部の若造だった。
「——というわけでございます、木暮部長。今月末の満了をもちまして、再雇用契約の次の更新は行わないという結論に至りました。組織の若返りという大方針、何卒ご理解ください」
頭の芯がカッと熱くなるのを抑え、声を絞り出した。
「理解って……俺はまだやれる。今期だって目標を達成しているはずや。部下たちの教育だって、俺が責任を持って——」
「ええ、お言葉ですが」
若造は俺の言葉を柔らかく、しかし冷酷に遮った。
「その『ご指導』の件ですが。最近の若い社員たちから、木暮部長の当たりが少々キツすぎる、時代にそぐわないという声が出ておりまして。今の基準ではハラスメントのリスクとして看過できない、というのが上層部の判断です。……察していただけますね?」
事実上の、引導だった。
定年を迎えてなお、休日も潰してただひたすらに会社のために働いてきた。
それなのに、時代が変われば「扱いづらい老兵」として、ゴミのように放り出されるのか。
「明日からは後任への引き継ぎをお願いします。本日は定時までご自身のデスクでお過ごしください」
デスクに戻ると、フロアが一瞬で静まり返った。
すでに噂が回っているのだろう。部下たちは腫れ物に触るかのように、俺と目を合わせようとしない。
定時を告げるチャイムが鳴るまで、俺はただ、動かないパソコンの画面をじっと見つめ、座り続けるしかなかった。