ずっと前に住んでいた家の近くに ご夫婦で営業しているラーメン屋さんがあった

とっても元気で気さくな奥さんと いつも笑顔の優しいご主人

店は小さいけれど 馴染みのお客さんで賑やかな店だった

ある日 おばちゃんから聞いた話…

夏の夜 店を閉めようと暖簾をしまおうとした時

すみません…水を一杯いただけませんか?

ちょっと疲れた感じの女性に声をかけられた

今 冷たいの持ってきてあげるから待っててね!
おばちゃんが氷をいれた水を渡すと 女性は美味しそうに飲み干し ありがとうございました と深々とお辞儀をして去っていった

その日から 毎日暖簾をしまう時に女性が水をもらいに来るようになった

おばちゃんは変わらず笑顔で冷たい水を差し出した

1週間ほど過ぎた頃 女性は水を飲み干すと…

やっと家に帰れる事になりました
毎日美味しい水をありがとうございました

と おばちゃんに微笑んだ
やっと家族が見つかったんだね!
もうひとりじゃないんだから 安心して休むんだよ

おばちゃんの言葉に女性は頷き 深々とお辞儀をして去っていった

おばちゃんは知っていた
この女性は既に亡くなっている事を…
毎日同じ服を着て 焼け焦げた髪をしていたから…

25年前の暑い夏
悲しい出来事があった

その時にあった 悲しいけど 心に残る話…