最近 読み終えた1冊です。

朝井まかて著『秘密の花園』


先月に読んだ、小説新潮に連載されていた

鈴木牧之 が『北越雪譜』を出版するまでの

長い道程を描いた小説

『雪草子 雲の脚』(木内昇著)の中で


 牧之に出版の力になる、と

約束したにもかかわらず、

長年ないがしろにした挙げ句

牧之の原稿を勝手に捨てた

曲亭(滝沢)馬琴を主人公とした小説です。


『雪草子 雲の脚』で描かれた馬琴はとても傲慢で嫌な人でした。

だからこそ 興味を持って 『秘密の花園』を

読みました。

つい先月に 馬琴と繋がりがあった

牧之の話を読んだばかりなので

滝沢家の相関図もだいたいわかってたので

読みやすかったです。

さて、どんな意地悪な馬琴が出てくるのやら。


読後の印象は…

 ガラリと変わりました(笑)


すごいな、作家はある意味 弁護士みたいですね。

印象悪いところから入ったのに

 朝井まかて氏の交渉力と筆致力で

馬琴の苦悩や執筆への執着が

痛いほど伝わってきました。

狷介と言われてしまう所以も。


『雪草子 雲の脚』に出てくる馬琴像も

間違いないと思うし、

『秘密の花園』での馬琴像も

間違いないのだ。


最近 自分で決めたこと。

読書感想は拙い語彙でダラダラ書くより

本の帯を任されたと思って簡潔に書く。


この本の感想は

"馬琴の秘する花園は 

苦悩と矜持でできていた。"です。


草花を愛でるのが好きだった馬琴。

本のなかでも そのような描写が

いくつかあります。

だけど、読み進めると

もうひとつの"花園"が浮かび上がってきました。

土を耕す、種を蒔く、花を咲かす。

花が咲くまで 自分のプライドを支えに

狷介とか自分への悪評すら

きっと肥やしにしたのだ

馬琴という人は。


この感想を抱いた時に

本のタイトルが 実に言い得て妙だと

しみじみ感じました。