読書と言えば

普段は図書館の本を借りて読むことがほとんどですが、

合間をぬって

小説誌の連載も読んでいます。

ちなみにお風呂に入るときは

Kindle Paperwhiteを防水カバーに入れて読んでます。


図書館で本を予約して

順番が 巡ってきたら借りて、

または他に予約が入ってなかったら

 すぐに借りて、

期限内に読んで返却しなくてはいけないので

毎月買ってる『小説新潮』もなかなか読めてません…。


ほぼ毎月 何らかの本を数冊

図書館から借りたり返却を繰り返してるので 

予約もない現在、

やっとそれらが落ち着いた今月始めに、

読みかけていた小説誌の連載を

一気に読み終えることができました。

『雪草子 雲の脚』木内昇著

(2020年10月号~2022年1月号連載)




このお話の主人公は越後の豪雪地帯に生まれて育ち、

雪と密着した暮らし、伝承、逸話、などを本にして 当時の江戸で大流行した『北越雪譜』の作者、鈴木牧之(小説内では鈴木義三治とも)であります。

私とオットが冬になると必ず訪れていた秋山郷

では、よく鈴木牧之の名前を目にしました。


オットも私も大の雪好き。

大人になっても "雪が好き"というと

生活や仕事に悪影響を及ぼすのに、と

顰蹙を買いそうなので大きな声で言えませんが。

ちなみに私もオットも

曇り空が大好きなのも一致してます。

今にも泣きそうな空、

雪を含んで重くて暗い空を見て

『今日は良い天気やね。』

と言い合う(笑)

そんな雪の怖さや煩わしさをあまり知らずに

単に雪が好きな私に

ワクワクさせてもらえて

 また恐怖に震えあがらせてもらえる

『北越雪譜』はいろいろな意味でバイブルであります。


その『北越雪譜』が構想から発行されるまでに

なんと、気が遠くなる年月がかかったことが

この小説で描かれています。

希望と頓挫を繰り返し、

十返舎一九に頼まれて秋山郷へ向かったり、

曲亭(滝沢)馬琴に酷い扱いをされたり、

読んでいて心が疲れる話の連続でした。

でも、描写や鈴木牧之の心の内とかとても

丁寧に描かれていて

読後の爽快感は 

かなり気持ち良く余韻も長いです。


雪深い地の生活は 捗らないことだらけで

牧之の本の発行も捗らないことだらけで

それが相まって雪国で生きる人のしぶとさ

が よく伝わってくる。

そんな小説の最終話の中に

鈴木牧之の幼なじみが『北越雪譜』の中に出てくる怪物の名を冠したお酒を作りたい、という一文が出てくる。


えっ!?

ひょっとして

 うちの冷蔵庫にある あのお酒!?


あのお酒とは 1月にオットが元同僚との

おっさん3人の旅行で新潟県の魚沼方面に行ったときに

私がお土産に頼んだカップのお酒です。


オットはお土産を選ぶセンスがないので

私がいつも事前に旅先の美味しいものとか可愛い物をネットで探し、選びます。

(センスがない、というのはお土産が悪いのではなくて 甘いもの苦手な人に甘いものを、お蕎麦が苦手な人にお蕎麦を買うとかそのセンス)

今回は私だけのお土産で済むので

おっさんだけの旅なので

わざわざ探してまで買ってくれないだろうし、

探してもらってまで、と 

そこまで望んでないので

小さいカップのこのお酒のイラストが可愛くて しかもどこでも売ってそうなので決めてお願いしたのでした。

実際 コンビニで売ってたそうです。


『北越雪譜』には言葉だけでは伝わりにくい雪の暮らし方や道具、伝承など挿し絵がふんだんに使われています。

そこで  冷蔵庫から持ってきたカップ酒のイラストと

手元にある『北越雪譜』のページをめくり

探したら 一致するものがありました!

挿し絵とよく似てる!

すごい感動!!

…でもよく見るとカップ酒のフタの所に

『北越雪譜』のことが書かれていました。


それでも事前に知ってた、というよりは

偶然に自分で発見できたことがすごく嬉しい!

このお酒に間違いないよね。

時代を超えて 繋がる幸せ。

私はお酒は飲めないのでムスメにあげて

カップだけ返してもらう予定です。




それから、最近新聞の書評で

面白い本が出てることを知りました。

『秘密の花園』朝井まかて著

これは曲亭馬琴の人生を描いた小説です。

『雪草子 雲の脚』で偏屈で冷酷な人物像と描かれていた馬琴。

この人の人生も深く知りたくなりました。

どうして そんな性格になった?

鈴木牧之も出てくるのかな?

また久しぶりに図書館に予約を入れました。


小説誌の魅力は

まだ世に出てない本が読めること。

この『雪草子 雲の脚』も世に出てほしいです。