よう、みんな。黒岩匠だ。
今日は特別な話をしたい。
先週、長年愛用してきたオーダーメイドのグローブを新調したんでな。その時の興奮が、まだ胸の中でじわじわとしてるんだ。
ボクサーにとって、グローブは第二の拳だ。いや、それ以上の存在かもしれない。特にオーダーメイドとなると、まるで自分の体の一部のような感覚になる。
今日は、そんなグローブへの愛着について語らせてくれ。
実はな、このグローブを作ってもらったのは、東京の下町で40年以上グローブを作り続けている職人さんなんだ。
その職人、山田さんって言うんだが、もう70歳を超えてる。
でも、その目の輝きは20代の若者より鋭いぜ。
山田さんの工房に入った時の匂いは忘れられない。革の香り、接着剤の香り、そして長年の時が刻んだような独特の空気感。それだけで、もう心が躍るんだ。
オーダーメイドのグローブを作るってのは、まるで「拳の採寸」みたいなもんだ。手の大きさはもちろん、指の長さ、手首の太さ、握り拳を作った時のシワの位置まで、細かく測っていく。
山田さんは、そのたびに「うんうん」って頷きながら、メモを取る。
でもな、単なる寸法以上の何かを、山田さんは見抜いてるんだ。「黒岩さん、最近右フックを多用してるでしょう?」なんて言われて、ギョッとしたこともある。
グローブの減り方で、普段の練習内容まで分かっちまうらしい。
材料選びだって、これが また繊細な作業なんだ。何種類もの革を見せてもらって、触って、曲げて、時には匂いを嗅ぐ。「これは1年後にはこう馴染んでくる」「これは汗を吸うとこう変化する」。山田さんの説明を聞いてると、まるで革の人生を語ってるみてえだ。
特に今回は、山田さんが取っておいてくれた特別な革を使わせてもらった。オーストラリアの牧場で、天然の方法で育てられた牛の革だそうだ。「この革は、使えば使うほど味が出る」って山田さんは言ってた。
人間と同じだな、って思ったよ。
グローブの中身だって、一筋縄じゃない。パッドの硬さ、詰め物の量、それを決めるのにも、いろんな会話を重ねる。「どういうパンチを打ちたいのか」「どんな試合運びをするのか」。そういった話の中から、最適な組み合わせを見つけていく。
縫製に入ると、山田さんの表情が変わる。
無心とも言えるような、でも確かな意志を感じる眼差し。
一針一針、丁寧に革を縫い合わせていく。その手の動きは、まるで詩を紡いでるようだ。
「グローブ作りは、ボクサーの夢を形にすること」って、山田さんはよく言う。
なるほど、と思うね。
このグローブを着けて、どんな試合をしたいのか。どんなパンチを打ちたいのか。そういう夢や希望が、
一つ一つの工程に込められていく。
出来上がったグローブを初めて手にした時の感動は、何とも言えないものがある。ピッタリと手に馴染む感覚。パンチを打った時の音。グローブから伝わってくる反応。全てが完璧なんだ。
これは、大量生産のグローブじゃ、絶対に得られない感覚だ。確かに値段は張る。でも、それ以上の価値がある。だって、このグローブは「自分だけの物語」を持ってるんだ。
実際、新しいグローブでミット打ちをした時、生徒たちも気づいたみたいだ。「先生、なんかパンチが違いますね」って。
そりゃそうさ。これは単なる道具じゃない。山田さんの魂と、俺の夢が詰まった相棒なんだから。
ボクシングってのは、結局のところ、人と人とのつながりなんだ。リングの上で戦う相手との、トレーナーとの、そして、こうしてグローブを作ってくれる職人との。そのつながりの中で、俺たちは強くなっていける。
山田さんは言ってた。「グローブは、ボクサーの人生を映す鏡だ」って。使い込むほどに味が出て、傷もつく。でも、その一つ一つが、戦いの証になる。まさに、人生そのものじゃないか。
さて、この新しい相棒と、どんな物語を紡いでいけるか。それを考えるだけで、胸が熱くなってくる。
みんなも、自分の道具を大切にしろよ。
それは単なる物じゃない。夢を叶えるためのパートナーなんだ。
今日はまぁこんなところだ!
じゃあな。また次回!