日生劇場~村野藤吾の感動空間~ | Arte, arquitectura y espacio-tiempo conectados a España.

Arte, arquitectura y espacio-tiempo conectados a España.

美術、建築、空間が好きです。それらに触れられる時間が愛しい。そして何故か、私の感性はスペインに繋がる。

先日、日生劇場を見学する機会がありました。

大変素晴らしい空間だったので、ここに書き留めておこうと思います。

 

日生劇場   1963年9月竣工 

設計:村野藤吾

 

竣工直後の外観写真。

手前はフランク・ロイド・ライト設計の旧帝国ホテル。

 

 

日生劇場は、日本生命社長の「お客様に感動体験を届けたい。」という熱い思いから劇場作りが始まりました。

村野はその思いに設計で応えます。

エントランスから座席までの道のりでワクワク感を高めてもうらうように、

観劇での高揚感を損なわないように、細部に拘った空間づくりとなっています。

 

エントランス正面にはガラスの装飾壁。

背面から照明を当てることで、光が透過して輝きが出ています。

因みにこの壁の後ろは、劇場内の奈落に位置するそうです。

 

よく見ると作家さんの名前があります。

 

 岩田藤七(イワタ トウシチ)

海外で展覧会を開催するなど、世界的に活躍したガラス工芸家です。

 

このガラス装飾壁は、洛中洛外図屏風をモチーフにしています。

モチーフにした屏風を特定できているようでしたが、聞き忘れました。しまった・・・。

 

洛中洛外図屏風と言えば、織田信長が上杉謙信に贈った国宝上杉本でしょう

 

右隻

 

左隻

 

所蔵 : 米沢市上杉博物館

 

私見で、左隻がモチーフのような気がします。

 

 

エントランスの天井照明は、様々な幾何学模様を組み合わせて、敢えてアンシンメトリーにデザインされています。

 

 

床から生えているような一体感がある受付台。

 

天然の大理石なのに、上手く柄を合わせています。絶妙!

 

繊細な螺旋階段。

 

手摺の太さや曲線にも拘りがあります。

 

今では入手困難な天然大理石がふんだんに使われた豪華な空間。けれど華美にならないのは、村野のデザインによるところ。

 

 

漆喰の丸型格子天井が近未来的な雰囲気を醸し出します。

 

 

とにかく螺旋階段が美しいのです。

支柱をオブジェに見立てているので、

階段が浮いているようで軽やかです。

 

天井からぶら下がっている球体(写真手前)は、放送設備(スピーカー)。

こんなスピーカーは初めて見ました。

 

階段を登り切ったところの天井は、一般的な天井材を使ってモダンなデザインが施されています。

 

 

ロビーにはシャガールのタペストリーが2枚ありました。

 

 

 

 

 

劇場内部は次回ブログで紹介します。