コートルドコレクションは良作揃いなのはもちろん、貴重で興味深いものが多いです。
吟味して収集した痕跡が伺えます。
コートルド美術館展で目を引いた作品の1つが、ゴーギャンの彫刻です。
Paul Gauguin
モデルはゴーギャンの妻で、デンマーク人のメット。当時29歳。
私にとってゴーギャンと言えば、アルルでゴッホと共同生活を始めるものの、
2カ月余りでゴッホのもとを去ると言い出し、耳切り事件が起きる。
その後、妻子を残してタヒチへ移るという…自由気ままで破天荒。悪く言うと身勝手ちゃん。
そんなゴーギャンの妻に初めてお目に掛かれました。
社交的で意志が強い女性だったとか。
思わず「大変だったね…。」と心の中で話しかけてしまう。
今回、ゴーギャンの彫刻作品を目にしたのは初めてで、しかも綺麗に彫れているので驚きました。
ゴーギャンが残している彫刻は2点だけ。
もう1点は、同年に息子をモデルに彫っているそうです。
綺麗な仕上がりから、制作には彫刻家のサポートがあったと言われています。
家族の姿を残したくて作ったのでしょうか。
そしてもう1点、ゴーギャンの作品。
Paul Gauguin
こちらは、ゴーギャンがタヒチで妻にしていたパウラがモデル。妻にした時はまだ14歳でした。
この2つの作品(2人の妻)が同じ展示室で観賞できます。
2つが揃っていることで、価値が高まっているように思います。
また、本展覧会には展示されていませんが、
コートールドコレクションには、耳切事件直後のゴッホの自画像があります。
(ゴーギャンに関連して紹介します。)
Vincent van Gogh
この自画像は、ゴッホが自分の耳を傷つけて病院から帰ってすぐに描かれました。
背後に佐藤虎清の錦絵《芸者と富士》が描かれています。
これも貴重な1枚です。