さちは おかあさんが 大好きでした。
世界中で さちに とっては お母さんという 存在は たったひとりでした。
でも お母さんは こだくさんで お世話をする こどもをたくさんかかえていました。
お母さんにとってはこどもはみんなかわいいこども。
どのこが特別かわいいというのはありません。
お母さんのおひざはいつもこどもたちでとりあいっこ。
一番上の さちは もう 大きいから 妹たちに ゆずっていました。
自分は充分 おかあさんのおひざにのせてもらったから。
さちは ひとりで 家の前の 公園でブランコにのって 空をながめながら
いろんなことを 空想しながら こぐのが日課になりました。
ちょうわ って なにか わからない。 空想からふと現実にもどって
今日姉妹げんかしたときの お母さんの台詞を思い出していました。
きょうだい なかよくが 一番だよ
調和 って ことばがあるんだよ
って 教えてくれたけど
さちは そう 聞いたとき こわい っ て 思いました。
なにかわからないけど
どうやら いい言葉らしいけど
さちには ちょうわ って言葉が がまん って言葉に聞こえました。
心の底が いやだ っていっていました。
でも 大好きなお母さんが そういっているんだから
さちの思う ちょうわ の 世界 と
お母さんが 教えてくれる ちょうわ の 世界は きっと ちがうんだろうな
だって お母さんが さちに いやなこと するはずないもん
そんな 信頼の 気持ちだけが さちの真っ暗闇の心の中の光だな、、、と思いながら
あと 10回こいだら おうちへ帰ろう と 決めて
まっかな夕日をみながら ブランコを こぎました。
さちの 家は 海の近くにあるので
おもいっきり こぐと 遠くに 海が ちらりと 見えます。
さちは 10回 海がみえるほど 大きくこいだら なんとなく 気分が すっきりして
ぴょんっと ブランコから 飛び降りると
もう なにごとも なかったかのように
おうちへ もどりました。
黒ネコ が 一匹 さちの 走って帰る姿を 公園の花壇のすみから じっと 見ていました。