＜警察庁＞ＤＮＡ運用８年 ２万２０６９件特定

警察庁が管理・運用するＤＮＡ型データベース（ＤＢ）を活用して容疑者の特定に至った事件が、０４年の導入から今年１１月末までの約８年間で、２万２０６９件（容疑者は１万７２８０人）に上ることが、同庁への取材で分かった。今月には、愛知県蟹江町の会社員宅で家族３人が殺傷された事件（０９年）で、窃盗事件で三重県警に逮捕されていた男の関与を特定する決め手の一つになるなど、特に広域にわたる事件捜査のツールとして威力を発揮している。

【ＤＮＡ鑑定で逮捕】愛知一家殺傷:２９歳の中国国籍の男　強盗殺人容疑で逮捕

　警察庁によると、ＤＮＡ型情報を指紋などと同様にＤＢ化したシステムは、０４年１２月に本格運用を開始し、１１月末現在の登録数は約３２万件。内訳は容疑者から採取したものが約２８万６０００件、事件現場に遺留された血痕や毛髪などから検出したものが約３万７０００件。

　情報は警察庁の端末で一元管理されている。通常、各都道府県警の科学捜査研究所による鑑定結果を電子データで受け、同庁の担当者がＤＢの照合作業を実施。警察の主な検査法はＳＴＲ型と呼ばれ、別人と一致する確率が「４兆７０００億人に１人」で、個人識別が可能とされる。

　全国から寄せられる情報をＤＢで照合し、事件の解明につながったケースは、導入直後の０４～０５年には１５８件（容疑者は１３１人）だけだった。

　登録数が増えるのに伴い、０７年１４１１件▽０８年２２６４件▽０９年３２９１件▽１０年３６３８件▽１１年４９４２件－－と増加傾向にあり、今年は１１月末までに５６１３件（同４５８４人）に上るという。

　都道府県警察本部をまたぐ広域事件のほか、性犯罪や侵入盗などで余罪が疑われる場合などにも積極的に活用されている。

　一方、ＤＢの導入に伴い各警察本部でのＤＮＡ型の鑑定件数も増え、昨年は約２１万３０００件に上った。鑑定には１件当たり試薬代などで１万円程度かかるとされ、財政面での課題も指摘されている。【村上尊一】

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