『明日の記憶』 荻原浩

第18回 山本周五郎賞受賞作。

なんだか他人事に思えなかったですね。
最近父が「あ~、あれなんだっけ?」とか言うとドキドキしますもん。

若年性アルツハイマーと診断された佐伯さんの周りでは、
意外な人が敵になり、意外な人が味方になってくれます。
友情(愛)の本質って、人生の頂点ではなく底の時に出ますね。


主人公の父がアルツハイマー病だったことから、
自分がこれからどういう経過を辿るのかがリアルに分かる。
その病状に対する不安と、残す妻や娘への想いが切なくてたまりませんでした。


妻の「こっちには最終回なんかないんだから」というセリフも辛かった。


備忘録をつけていく中で、文章に平仮名が多く交じるようになるあたりから、
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』を思い出しました。