「生き方」稲盛 和夫 サンマーク出版 1785円
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- 京セラやKDDI(第二電電)を創業し、現在は若手経営者が集まる「稲和塾」の塾長
として社長教育に心血を注ぐ経済界の重鎮、稲盛氏が書いた渾身の人生論である。 - 副題として「人間として一番大切なこと」と書いてある。
骨太の本である。
「人間は何のために生きるのか」という根本的な命題を最初から投げかけてくる。
人間は生きる指針として、「哲学」や「理念」「思想」が必要である。
人生の目的は、「心を高めること、魂を磨くこと」とずばり言う。
いくらお金や地位や名誉があっても、あの世までは持っていけない。それらは現世だけに
しか通用しない。その中でたったひとつ滅びないものは、「魂」だと喝破する。だからこ
の世に生まれてきたなら魂を磨き、より高い次元の魂を持ってこの世を去っていけと稲盛
氏は言う。
魂を磨くために必要な「哲学」は何も難しいことを言っているではない。
「人間として正しいかどうか」である。
「嘘をついてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、正直であれ、欲張ってはならな
い、自分のことばかりを考えてはならない」など単純な原理原則が揺るぎない指針となる。
具体的には仕事の現場が一番の魂磨きの場であり、人生の真理は懸命に働くことで体得できる。
人生をよりよく生き、幸福という果実を得るための方程式を著者は次のように表現する。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
この中では特に、考え方、つまりプラスの考え方が大事である。それは、「よい心」のこと。
つまり、感謝の気持ち、協調性、前向き、明るく肯定的、善意思いやり、優しさや利他の心
などである。
「このように、よい心がけを忘れず、もてる能力を発揮し、つねに情熱を傾けていく。それが
人生に大きな果実をもたらす秘訣であり、人生を成功に導く王道」であり、宇宙の法則に沿
った生き方であると稲盛氏は説く。
章立ては次のようになっている。
第一章 思いを実現させる
第二章 原理原則から
第三章 心を磨き、高める
第四章 利他の心で生きる
第五章 宇宙の流れと調和する
人生の宝物があちこちにぎっしり詰まった宝箱のような本である。座右の銘にしたい言葉が
沢山ある。経営者ばかりでなく、若者や政治家にも読んでもらいたい良書である。
最後にいくつか心に引っかかった言葉を引用しておく。
「現世とは心を高めるために与えられた期間であり、魂を磨くための修養の場である」
「人生は心に描いたとおりになる、強く思ったことが現象になって現れてくる」
「否定的なことを考える心が、否定的な現実を引き寄せたのだ」
「つねに『思い』の火を絶やさずに燃やしつづける」
「人生とはその『今日一日』の積み重ね、『いま』の連続にほかなりません」
「『創意工夫する心』が成功へ近づくスピードを加速させるのです」
「夢をもて、大志を抱け、強く願望せよ」
「長い目で見れば、確固たる哲学に基づいて起こした行動は、けっして損にはならないものです」
「知っているだけではダメ、貫いてこそ意味がある」
「込み入って複雑そうに見える問題こそ、原点に立ち返って単純な原理原則に従って
判断することが大切」
「リーダーには才よりも徳が求められる」
「福がもたらされたときにだけではなく、災いに遭遇したときもまた、ありがとうと感謝する」
「感謝の心が幸福の呼び水なら、素直な心は進歩の親である」
「なんまん、なんまん、ありがとう」
「欲望、愚痴、怒りの三毒は、百八あるといわれる煩悩のうちでも、ことに人間を苦しめる元凶」
「世のため、人のためというきれいな心をベースにした思い、願望と言うのは必ず成就します」
「悟りとは心を高めること。心が磨かれていくその最終、最高のレベルが悟りの境地」
「生命は偶然の重なりではなく、宇宙の意思による必然の所産である」
「災難によって、今まで魂についていた業が消えていくのです」
「動機善なりや、私心なかりしか」
「利を求むるに道あり」
「 知足利他 」
「 立命 」
是非とも、ご自分で実際に読んでもらいたいおすすめの本である。
by 蔵修息遊

