はじめて北翔さんを拝見したのは花『エリザベート』でした。
あの圧倒的フランツを観て、『エリザベート』は、正しくフランツの物語でもあるのだと感じ。
『風の次郎吉-大江戸夜飛翔-』で、ワキだけでなく主演として輝く人だと知り。
『大海賊/Amour それは…』で作品をねじ伏せる力技を見せてもらい。
『ガイズ&ドールズ』『LOVE & DREAM』『こうもり/ THE ENTERTAINER!』『桜華に舞え/ロマンス!! 』と楽しませていただいたのですが、もっと観たいとご卒業を残念に思っていました。

その後、ご縁をいただき退団後の『パジャマゲーム』『現代能マリー・アントワネット』『蘭RAN~緒方洪庵 浪華の事件帳~』を観せていただく機会を得て、どんどん女性に戻っていく北翔さんを見て来ました。
今やすっかりスカートです。
私服は相変わらず、よくわからない色合わせですけどね(笑)


そして、観てきました。

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北翔海莉20th『Challenger!!~ザッツ★北翔テイメント!!~』
バウホール
構成・演出/岡田敬二
音楽監督/佐伯準一
振付/尚すみれ、御織ゆみ乃、市川恵子(フラメンコ)  ほか
出演/北翔海莉、りつこ(星条海斗)、澪乃せいら、貴千碧、妃白ゆあ、隼海惺。
演奏/ブラックキャンディ

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20年の集大成っぽいのに「チャレンジャー」ですからね。みっちゃんらしい。
宝塚男役のみっちゃんを久々に見た。

ACT 1
『オープニング』
ガイズ&ドールズ「Luck be a Lady」
初っ端から客席のテンションあげてきます。

『北翔海莉~誕生から卒業まで~』
宝塚時代の歌を歌いまくるみっちゃん。実に13曲。セットリストは多分ネット上あちこちに落ちてます。
それぞれの曲ごとにドラマが見られるのはさすがですが、途中、出演者紹介で笑いまくりです。
やっぱりみっちゃんの舞台は速攻あったまる。

『もう一度会いたい、あのキャラクター達』
「雨に歌えば」(リナたん)
マギーさんと掛け合いで大笑い。市瀬秀和さん紹介。

「手相見の歌」(手相見)
客席の桜木みなと君を占って紹介。リナたんにベール被っただけなのに、すっごい美女に見えるのがやっぱり凄い役者だ。

「Jump!!」(ラスティ)
先日宙組『オーシャンズ11』演目発表で、花組公演思い出したところだったのですっごい嬉しかった。やっぱラスティかっこいい!

「私だけにリプライズ」(フランツ)
大劇場では今やってますね。しっとり前奏始まったかと思えば、最前列に座っていた、藤山扇治郎さんの手を取り「君の手紙何度も読んだよ」とフランツが歌いだし、客席笑いまくり。

「笑って見過ごす」(ルノー大尉)
私、このみっちゃん知らないんです。

そして、星条海斗さんが客席降りしながら(ルキーニ)の「キッチュ」ハリのある声でめっちゃ上手い!写真撮るんじゃなくて、みっちゃんの写真配ってた。

『フラメンコ!!』
これ見るだけでも価値があります!
フラメンコギター/土橋幸男
カンタオーラ/山下祐見江
もうお一方舞台上にいらっしゃったのですが、ハレオかな?
みっちゃんしか目に入らない。
闘牛士でしょうか、燃えさかる人生が見えるような魂のフラメンコ。
みっちゃんの踊りは、身体から瞬時に汗が蒸発して光にくもり、オーラのように立ち上る感じ。
闘牛士といえば東京で水美さんが牛を演じています。
水美さんの踊りは、飛び散る汗が結晶になって光があたりキラキラはじける感じ。
ああ。みっちゃんのこの舞台、水美さんに見せたいな。

ACT2
「殺陣」
凛々しいみっちゃん。
剣舞とはいえ、迫力が凄く。
私の方に向かって刀が振り下ろされた時には一瞬びくってなりました。

『美空ひばりメドレー』
声の使い分けと、ストーリーの見える歌詞、演技要素多い歌。しかも難易度高い。みっちゃん歌いたくなるんだろうね。美空ひばりさんのナンバー。
しかし、演歌に挑戦と言いながら美空ひばりメドレーを歌ったみっちゃんでしたが、美空ひばりは演歌なのか?美空ひばりは美空ひばりというジャンルだと思う昭和な私です。

『北翔宣言』
まず、みっちゃんのサックスでかっこよく「ルパン三世」

そして「関白宣言」からのジョンソン先生で「関白失脚」
さだまさし好きな私からしたら、「関白失脚」歌い始めからウルウルでした。
さださんの歌も、声の使い分けとストーリーの見える歌詞、演技要素。そして落語と、独特で難易度高いナンバーですから。みっちゃんにぴったり。

一旦引っ込んだかと思えば、傘を杖代わりにして、「夜のボート」
聴かせます。やっぱ凄い。のに、笑いを取りに来るみっちゃん。

『北翔愛』
「It Had Better Be Tonight」
星条海斗さんが詩作されて、訳詩をみっちゃんが重ねる。
みちこさんを思って書かれたそうです。

「Heal The World」
なんとここに来てマイケルジャクソン。
もっと素晴らしい世界に!
泣かないで聴けるわけが無いでしょ。
マイケルが大切にしてた歌。
ぼろぼろ泣いた。絶対見られた。

フィナーレ
「歌はわが命」
みっちゃんの舞台人生
美空ひばりの歌人生
マイケル・ジャクソンの歌人生
まだまだみっちゃんはこれからだ。
これからもっと広い世界へ出て行き、
もっと多くの陰口をたたかれ、
もっと多くの「あなた」が出来る。
みっちゃんの才能を表現を貪欲に求め続ける「あなた」が。
20周年おめでとう。

アンコール
「Climb every mountain」
全ての山に登れ
夢つかむまで

これで公演は全部です。


さて、
私は水美さんが好きです。<いや、もう、みんな知ってるし
過去、一度だけ水美さんの舞台で持って行かれたことがあります。

これと同じ現象が今回起きました。
一部抜粋しましょう。

「本気で持って行かれたコトはありますか?
誰かの創作物に触れ、魂を持って行かれたまま、抜け殻のようになったことはありますか?

目の前では確かに時が過ぎ、それを認識しているにもかかわらず、自分がココにいるという感覚が持てない、心が先に進まず、さっきまでの時間の中に囚われたまま。表情筋は動くのを辞め、手足が小刻みに震え、絶えず目が潤み、心の無風状態が数時間に渡って続くコト。

感動というのが、心が感じて動くというコトであるのならば、
これは衝撃としか言いようのないショック状態」

終演後、この状態の私がいました。

隣に友人たちがいなければ、午後に『エリザベート』観劇が無ければ、
私はロビーのソファに座り3時間ほど自分の時間をこの余韻に明け渡していたでしょう。
それは突然に、ふと現れる稀有な時間。
年齢、体調や心の開き具合、出会うタイミングによっても変わるであろう、デリケートなそして素晴らしい時間。
妙々たる創作物に触れた時だけ訪れる、ミューズがその誰かを使って私に遣わされた奇蹟のギフト。

私にとって、そんな公演でした。
友よ、チケットを取ってくれてありがとう。
みっちゃん、素晴らしい舞台をありがとう。