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ふと、視線を遣ると、その人はいました。東京の真ん中にカウボーイ? いや、イージーライダー?ひと時の休息って感じだろうか、大きな体で小さなカップに満たされたコーヒーをすすっている。彼の見ているのは、土漠の彼方に続く道でもなく、牛を追い立てて走り回る平原でもなく、寒空に光を放つぎらぎらとした街の喧騒。
・・・・・って感じでしょうか。アタッシェケースを足もとに置いているところをみると、ビジネスマンだと思うんですが、ハマリまくってます。テンガロン・ハットにカウボーイブーツ、カウンターを見ると赤のマルボロにジッポのライター。どうせだったらウイスキーでも呑んでたらよかったのにね。もっとやるならフリンジ付きのジャケットでも着るってのはどうだろう。と、思いきや、革ジャンの背中にはしっかりと“Harley-Davidson”の文字が・・・・・。『あぁ、そっちの方か。』『この人、絶対ヒゲ生やしてるよ・・・・。揉み上げからあごから、上唇までつながってるやつ!』と前は見えないんだけど、膨らむ想像力。でねでね、『絶対室内なのにレイバンのすっごいダークなシェイド(shade)をかけているに、ち・が・い・な・い。』いやぁ、ここまでやるとスカッとしますね。久々に見ました、ベタな“Love America”な人。今日は水曜日なので、カジュアル・ウェンズディなんでしょうか。(実際にはヒゲ面でもグラサン姿でもなかったみたいですが・・・・・。) でもこの紳士、物凄く几帳面な人らしく、カウンターの上には、ライター、タバコの箱、灰皿、携帯電話、手帳などが置く角度や間隔などがきっちーんとそろって整然と配置されていて、そこだけ自分のデスクのようになってました。
この日は、佐々木加奈子展を見に行ってきたんですが、その帰りでの出来事でした。資生堂ギャラリーです。次のレクチャーでお題が出ていて、いくつかの展覧会のなかから自分の関心があるものを観て、評論を書かくのだ。いよいよ、ここまで来ました。この3月で昨年の4月から始まったレクチャーは終わりますが、年度末の忙しいこともあって、年が明けてからちょっと毎回の出席人数が減少傾向にある(かな?)。で、その分密度が濃くなってきているのも確か。学生を離れてからだいぶ経つので、活発なディスカッションをオブザーバー的に聴いて、『ふむふむ』と考えるのも楽しかったんですが、プレゼンテーションを求められるようになって来るとちょっと気持ち的にキツイなぁ、と言うのが正直なところである。以前の仕事柄、人前で説明したり、現場で指示を出したりするのは全然平気で、ハキハキもしてる(多分)けど、オープンな場所で自分の考えや気持ちを人に根気よく説明して判ってもらおうとするのは実はとても苦手なのだ。自明な事ならきっぱり言えるが、もやもやとした事を言葉にしながら頭の中で整理するのは、苦手かも。自信がないのだ。この感覚は、多分、理系のエンジニアが機械の機能や構成については英語で原稿なしでもきっちりプレゼンできるけど、英語でする日常会話になるとシドロモドロ、って言う感覚と似てるかもしれない。展覧会を観終わって、漠っと色々と“感じ”た事はあるけど、これを理路整然と“考え”、好き嫌いだけではなく、それを説明して著さなければいけないのだ。『明日、どんなになるんだろうなぁ。』と少々びびっていて、ぐるぐると思い悩んでいた、と、そんな時に出会った彼である。『人目を気にせず、単純に、ばばーんとアピールしていっとけばいっかなぁ。』彼を見ているとそんな結論に至りそうになったりして・・・・。あは。

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