おはようございます😊

朝から雨ですね

乾燥は解消しますが、やっぱり気分は下がりますね



それではつづきをどうぞ





                        つづき㊴





そんなわたしに気付くことのないあなたと途切れ途切れの会話を続けながら歩くこと一時間、木々に囲まれた場所から一気に視界が開け第一ポイントとなる場所に辿り着く。


辺りは一面すすき野原、暖かい日が続いたお陰でまだ見頃。振り返るとそこには雪を湛えた富士山が見える。


予定よりも三十分も早く到着出来たわたしを労ってくれるあなた。


トイレを済ませ一息つき写真を撮る。富士山をバックに肩を並べて満足気な顔で微笑むあなた。


周りを囲う木々がなくなったせいで風が強くなり汗ばんでいた身体が一気に冷えて来る。

脱いでいた服を着直し更に重ね着をし先へ進む。「この寒さの中、耐えられるだろうか?」と不安を感じたが杞憂に終わる。直ぐにまた周りは木々に覆われてその木々が上手に風を遮ってくれた。


同じような道が続くこと一時間半、ようやくこの山の頂上に到着する。

しかし、その場所は前回あなたと登った山とは様子が大きく異なっていた。


木々に囲まれた狭い場所に最高地点である二千五十七メートルと言う数字と山の名前が刻まれた目印が立っているだけ。


頂上に辿り着いた高揚感がその殺風景さで萎んで行く。それでもここが最高地点であるのだからとわたしを立たせ写真を撮ろうとするあなたに順番を待つ人が、


「一緒に撮りましょうか?」


と声を掛けてくれる。


嬉しくて顔が綻ぶわたしをよそにあなたは迷うことなく断りを入れてしまう。




標高も上がり寒さも増した山頂で、冷たいあなたの態度にまさに身も心も凍えるわたし。





風の強くなった山頂に長くはいられず上着を更に重ね着し先を急ぐ。

十五分ほどするとまた視界が開け視線の先にさっきとは比べ物にならない大きさの富士山がそびえ立つ。

百八十度広がるパノラマ。これこそがわたしの思い描く山頂だ。



まずは心のシャッターを押しあなたと同じ記憶を留める。



今度こそあなたと二人の記念写真だ。



寒さでかじかんで指先の感覚がなくなったあなたがグローブを外し写真を撮る。

二人の顔が収まるよう伸ばした手の先でシャッターを押す。

かじかんだ指先では上手く押せずあなたの指がボタンを連打する。

カシャカシャカシャと言う機械音が山頂に響き渡る。




思わず顔を見合わせ笑い合う二人。

カメラが捉えたその顔は幸せそのもの。




最高の景色と引き換えに遮るもののない山頂。ここでも長居は出来ず歩き出すあなたとわたし。