おはようございます😊

今朝はどんよりとした曇り空

昨日とは10度近くの寒暖差があるみたいですね(今のところそこまで寒さは感じませんが)体調を崩さないよう、今日も頑張りましょう。



それではつづきをどうぞ





                    つづき㊳




午前九時、登山口に到着。

あなたとわたしの二度目の山登りが始まる。

歩き出せば後戻りは出来ない。

頂上がゴールではなく、またここまで自分の足で戻って来なくてはならない果てしなく長い道のり。


覚悟を決め歩き出す。


歩き始めて直ぐに大きな岩が姿を現わす。

目を上へ向けるとその先には、岩、岩、岩。


スタート早々、気持ちが萎える。


「どこまでこんな岩山が続くんだ 、最悪だ」


心の中で悪態をつく。


「あー、今の顔、本性見えた。嫌だなぁって思ったでしょう?」


鋭いあなたの指摘に焦るわたし。


昨夜も飲んで来たと言うのに元気なあなたは、わたしの先をグングン登って行く。


時間とお金を掛け山の道具を揃え頑張っているわたしを労いもせずマイペースに口笛など吹きながら五メートル先を行くあなた。



冷たいあなた。



折角、二人で来ているのにちっとも楽しくなんかない。

あなたとのこの距離が今の二人の関係なのだと早くも疲労した頭で考える。





永遠に続くとさえ思えた岩山も二、三十分も登ると道が開け、所々なだらかな場所も現れて来る。


先を急ぐあなた。


一心不乱に登り続けるわたし。


更に登り続けると、先ほどまでの岩山はすっかり姿を消し、比較的なだらかな道が続く。


やっとのことであなたに追いつき、二人の間に会話が生まれる。


時々すれ違う人の中には独りで来ている人もいる。


それを見たあなたが、


「独りで山に登るのは危ないよね。それに独りで登って何が楽しいのかな?

山に限らず俺は何をするのも仲間と一緒がいいし、その中に女の人がいた方が楽しい。

恋愛感情のない、例えば、誰かの彼女だったり奥さんであっても、そこに女の人がいるだけで華やぐから。」


と笑いながら言う。



あなたにその気はなくても相手はきっとあなたを好きになる。



「恋愛感情抜きって言っても好きになっちゃうことはないの?」


聞きながら胸がザワザワする。


「独身時代は誘いを断れなくて同じ映画を二週続けて違う相手と観たりもしたけどね。」



出逢った二十年前、あなたは誰にでも優しく接するけれどその時、その時大切に想う人はただ一人。

だからこそ、その優しさであなたの愛を測ることは出来ない、そう想っていた。

華やかに見えてもきちんと地に足の着いた恋愛をして来た筈だと。



あなたの言葉がまたわたしの中のあなたを穢して行く。


「そんな人が何で結婚なんてしようと思ったの?」


哀しみを皮肉で隠し尋ねる。


「もう、そう言うことしなくていいんだって思ったから結婚したんだよ。」


落ち着きたかったのだろうか?そんな風に思えるほど愛していたのだろうか?



あなたの特別な人になれた彼女。



その他大勢のわたし。




今、ここに、わたしの目の前に、手を伸ばせば届くところにあなたはいるのに、あなたの心が果てしなく遠く感じる。




あなたの言葉に嫉妬と敗北を感じたわたしは言葉少なになって行く。