つづき㉖
お互いの誕生日も逢うことは叶わない。
わたしの誕生日前日、朝の会話で、
「圭さんの仕事始めはいつ?」
と尋ねると、
「一月四日からだけど、何で?」
とあなた。
「一月のその辺りわたし以外、大阪に出掛けていないからどこかに二人で行かれないかなぁと思ったの。」
「わたし以外って何?」
「夫と子ども達だけで出掛けるってこと。」
「何で笑ちゃんは一緒に行かないの?」
喜んでくれると思っていたあなたの意外な反応に傷つくわたし。
「諸般の事情かな。」
傷を広げたくなくて誤魔化すわたし。
「一緒に行けばいいじゃん。」
あなたの言葉がわたしを更に傷つける。
「圭さんはわたしが夫と泊りがけで出掛けると聞いても何とも思わないの?」
「子ども達も一緒なんでしょう?」
例え子どもが一緒であろうと、もしあなたからそんなことを言われたらわたしは嫌だ。
「わたしには好きな人がいて、そのことで家族を裏切っているのにそれはそれとして何もなかった様に旅行になんて行かれる訳ないでしょう。」
悔しさが込み上げる。悔しさの元にあるのは哀しみだ。
「だけど普段、子どもの行事とかは一緒に行っているのに旅行は駄目って言うのはおかしくない?」
どこまでも冷静なあなた。
「圭さんにとって、わたしとのことは家族とは関係のないところにあるんだね。切り離して考えられるってことだね。」
やっぱりあなたにとって、わたしとのことはただの浮気に過ぎないのだろうか?
「笑ちゃんの良いと悪いの境目はどこにあるのかな?」
焼きもちすらやかないあなた。
「わたしは、圭さんが家族旅行に行くなんて言ったら平常心ではいられない。それに、行き先が圭さんと行きたいねって言ってた大阪だから、例え子どもが行きたい場所でも圭さんと行く前に行きたくないって思ったんだよ。」
悔しくて、哀しくて涙が出る。
あなたがわたしを案内してくれると言った大阪。
わたしにとって特別な場所。
あなたは自分が言ったことも、もう忘れてしまったのだろうか?
あなたにとってわたしとの約束はその程度のことだったのだろうか?
「そう言ってくれるのは嬉しいよ。」
どうして「本当は俺だって行って欲しくないよ」と、言ってはくれないのだろう。
余りにも切なく、哀しい。
哀しみが怒りへと変わって行く。
そして、わたしは二度目の自爆をする。