梨香と行動を共にするようになったのは
中学一年生の時からだ。

クラスが一緒になった。
同じ小学校だったがクラスが別だったので話すようになったのは中学生になってから。

女子特有の小さな結束みたいなやつ。
いつ切れてもおかしくない程の
細い細い糸みたいな結束だ。

中学に入学した頃
梨香の事は知ってはいたが特に何も気にする事なく過ごしていた。

出席番号順に座った座席の隣の女の子…

眞美子と仲良くなった。

入学式の日に眞美子から声をかけてくれた。

小学校は別だったので

全く知らない人から声をかけられてガチガチに

緊張したが最初が肝心だと思い

無理矢理自分を奮い立たせた。


そんな記憶もすぐに忘れ去る…

毎日、学校では眞美子と一緒だった。


そう、梨香はこの頃他の女子と行動していた。

全く、梨香の事は気にも留めていなかった。


眞美子は一人で行動するのが苦手な子だった。

入学後二週間程経った後に席替えがあって

眞美子と席が離れたが

授業が終わった瞬間に飛んでくる。

トイレくらい一人で行けないのかなと

冷めた目をしてしまった事もあるが

学校に居る間、トイレに行くのは

いつも眞美子と一緒。

むしろトイレに行く事をお互い申告し合う。


この歳の女子は皆似たようなものだ。

トイレに行けば

大体二人組か三人組か四人組か…

トイレの数以上に女子生徒がいる。

我先にとお喋り大会が繰り広げられる。

中にはこっそりお菓子を持ってきて食べていたり

禁止されている携帯電話を持ってきている子もいた。



「ねー

 部活決まった?」

眞美子には入学当初から一緒の部活に入ろうと言われていた。

眞美子は絶対に弓道部に入るとはじめから決めていたらしい。


弓道部は無理。

小学生の時からスポーツは苦手。

体育は嫌いな科目。

運動部は絶対に無理。


ここの中学校は

一年生は全員部活に入る事が決まりになっている。

一度入部届を出せばその後は幽霊部員でも構わないし一度も部活に顔を出さず退部届を出してもいい。


部活はやる気なかった…。

学校が終わったらすぐ帰って

本を読みたいしピアノのレッスンだってあるから。


眞美子は一緒に弓道部入ろうと何度か言ってくれたが断っていた。

弓道部には

眞美子が小学生の時に仲良くしていた真里亞ちゃんが入るそうだったので

そこまで強引には誘われなかったのが救いだった。

一人行動ができない眞美子は

部活の時に一緒にいる子がいないとダメだから

そこは真里亞ちゃんが担ってくれるだろう。


私は楽そうな部活に入ろう…。

部費もほぼなくて…

活動してもしなくてもいいような部活…。


美術部だ…。


私は美術部に入部届を出す事に決めた。

絵は、まぁまぁ好きだったから。

特に目立った活動していないみたいだしちょうど良い。

眞美子も弓道部には真里亞ちゃんがいるから

私が美術部に決めた事を別に何とも思っていなかった様だ。

梨香は吹奏楽部に入部したらしい。


それから程なくして

一年生も部活が本格的にはじまっていった。


美術部は予想通り

特にやる事がなかった…。

放課後、美術室に集まり各々絵を描いたり

お喋りしている。

運動部のような

大きい声で挨拶や校庭を走るなんて

勿論なかった。

顧問の先生が誰なのかもよくわからなかった。

ボーっと窓から校庭を眺めるか

気が向いたら鉛筆を握る…

無駄な時間を狭い空間で過ごして帰る。


吹奏楽部は一体何時まで練習しているのか…

帰りだけは一人解放されて

夜ご飯の事しか頭にない呑気な女子中学生は

音楽室から漏れ聞こえる音を耳にして

学校を後にする。