もともと私はお喋りな子ではなかった。

幼稚園に通っていた頃も

先生にあまり自分の気持ちを伝えられなかった。

親にも伝えられなくて

泣いて察してもらうような子供だった。

さすがに中学生になって

泣く事はないけれど…。


一人で本を読み続けるのが苦痛とは感じない。

けれど、なんとも複雑な年頃の女子中学生…

強がったり弱い部分のバランスがうまくコントロールできない。


そんな、ある日

音楽の授業がはじまってすぐに先生か言った

「合唱コンクールの曲を決めます」


合唱コンクール…


ここの学校は秋に文化祭がある。

そんな大した事はやっていないと思う

クラスの出し物なんてないし

何かイベントとかある訳でもない。

部活での出し物がメインで生徒も先生も熱量はなく

グダグダな文化祭。

その文化祭の中で各クラス合唱を披露する。


合唱コンクールか…


小さい頃からピアノを弾いているので

音楽の授業は好き。

歌はあまり興味ないけど

意外と好きかもしれない。

伴奏者はきっと後で決めるんだろう。

ピアノは弾けるけど

伴奏者なんてとても私にはできない…。

そもそも立候補なんてできないし推薦してくれる人もいない。

緊張し過ぎて倒れるかも…なんて

起こるはずもない現実をボーっと考えていた。

きっと伴奏者はあの子がやるんだろう。


「今から五曲かけます

 みんな、どの曲がいいか、どのパートを歌いたい

 か考えながら聞いてください。

 指揮者と伴奏者もその後に決めますね」


今日の音楽の授業は一時間

合唱コンクールで歌う曲を決めて指揮者と伴奏者を決めるのか。


少しザワッとしている音楽室…


ベートーヴェンと目が合う


梨香は

仲良くしているいつものメンバーと

控えめにコソコソとお喋りしている