"Highway"を誤訳し続ける日本の主要メディア
AIに“highway”の意味をきくとAIはどう答えたか
永井津記夫
私は2017年6月に書いた「英語教育は破綻するか」というブログの中で、トランプ大統領の第一次政権での就任演説(2017年1月20日)の中で出てきた“highway”をNHKや主要新聞がほぼすべて「高速道路」と訳していることに言及し、
highway は「幹線道路」を意味する。米国では高速道路はexpressway、またはfreeway と言う。地域によっては、thruway、superhighway、skyway と言うが、highwayだけで正式の用語として高速道路の意味にはならない。もちろん、高速道路(expressway)は通常、重要な幹線道路なので、その意味では、expresswayはhighway (幹線道路)に属する。これは、日本で、国道は重要な幹線道路のことであり、東名高速や名神高速も高速道路で、「国道」に属するのと同じである。しかし、「国道」はすべて「高速道路」にはならない。
したがって、トランプ大統領が「build highways」と言ったとき、このhighwaysには高速道路も含まれている可能性が高いと思われるが、「幹線道路(≒国道)」を造ると宣言しているのである。この演説中のhighwaysを「高速道路」と訳すのは正確な訳からかなりずれた間違いである。
日本語の「ハイウェイ」は「(自動車専用)高速道路」の意味で使われているが、これは和製英語、つまり日本語である。「ムーディー」な店というように日本語で使うが、英語のmoodyは「不機嫌な」という意味であり日本で使われる「ムードのある」という意味にはならない。日本語の「ハイウェイ」も「ムーディー」も英語の本来の意味からずれた“和製英語”である。朝日、毎日、サンケイの三紙は「高速道路」、読売は「ハイウェイ」と訳していたが、いずれも間違いと言ってよいであろう。
というように述べ、“highway”を「高速道路」と訳すのは間違いであることを述べました。
が、2025年1月に発足した第二次トランプ政権においてのトランプ大統領の就任演説においても、各マスコミは“highway”を「高速道路」と訳していたようです。
次は、2025年1月21日の朝日新聞に掲載されたトランプ大統領の就任演説の英語原文と和訳から、抜粋したものです。※赤字の部分は私(永井)による。
They were farmers and soldiers, cowboys and factory workers, steelworkers and coal miners, police officers and pioneers who pushed onward, marched forward, and let no obstacle defeat their spirit or their pride.
Together, they laid down the railroads, raised up the skyscrapers, built great highways, won two world wars, defeated fascism and communism, and triumphed over every single challenge that they faced.
彼らは農民であり兵士であり、カウボーイであり工場労働者であり、鉄鋼労働者であり炭鉱労働者であり、警察官であり開拓者だった。いかなる障害も彼らの心やプライドを打ち破ることはできず、彼らは前進し続けた。
力を合わせて鉄道を敷設し、高層ビルを建設し、大きな高速道路を建設し、2度の世界大戦に勝利し、ファシズムと共産主義を打ち破り、直面するあらゆる課題に勝利した。
この朝日の記事を見ると、他のマスコミも依然としてhighwayを「高速道路」と訳しているように思われます。私が高校生の時、東京オリンピックの直前であり、「東名高速道路」が建設中でした。英語の教科書に“highway”が出てきて、「highwayは“高速道路”のことではなく、幹線道路のことですよ」と英語の先生の説明があったのをよく記憶しています。※”highway"の"high"は「high speed =高速」を連想させるが、その意味ではなく語源的には道路の水はけをよくするために道路が少し周囲より高く(=high)盛り上げられていたためだとされている。
“highwayman”は17世紀に英国のhighway(主要幹線道路)に馬に乗って登場した“強盗”であり、“highway”は「(主要な)幹線道路」「公道」という意味で、意訳すれば「国道」です。17世紀の英国には「高速道路」などありません。東名高速も「国道」に含まれますが、“国道”はすべて「高速道路」になってはいません。私の住む大阪には国道25号線も26号線も走っていますが高速道路ではありません。国道の全てが高速道路になってはいるわけではありません。これは米国でも同じで高速道路になっていない“highway(幹線道路)”はいくらでもあります。
前回と前々回のブログで“AIが嘘をつく”ことを問題にしました。が、また、AIに“highway”の意味を聞いてみることにしました。 ※▼で始まる部分が私の質問で(改行しようとしたなどで、エンターを押して質問文になっていない場合がありますが、AIは意図を汲みとって適切に答ています)、◆◇で始まる部分がAIの答です。
〈Highwayとは「高速道路」を意味するか〉
******************************************
▼日本では国道(national roads)と高速道路(epressways=signal-free ways)とは別の概念である。国道は国家が管理する主要幹線道路のことであり、高速道路も含んでいるが、高速道路ではない国道もある。 (※この後、「米国ではどうか?」という質問の形の文を続けようとして、改行すると、この文章でAIに行ってしまいました)
◆◇おっしゃる通りです。日本の道路法における分類では、「国道」と「高速道路」は明確に区別されており、必ずしもすべての国道が高速道路というわけではありません。 [1, 2]
日本の道路法第3条に基づき、道路は大きく4つに分類されています。 [1]
道路法に基づく日本の道路分類
- 高速自動車国道:全国的な自動車交通網を構成する、いわゆる「高速道路」です(東名高速道路など)。
- 一般国道:国の重要な幹線道路網を構成し、国土交通大臣が指定・管理する道路です。
- 都道府県道、市町村道:それぞれの自治体が管理する道路です。 [1, 2, 3, 4, 5]
国道と高速道路の関係性
国が管理する「一般国道」は必ずしも信号のない有料道路ではありません。以下のような多様な形態を含んでいます。 [1]
- 一般道路としての国道:街中を走り、信号機があり、歩行者や自転車も通行できる一般的な道路(国道26号など)も、立派な一般国道です。
- 高速道路の役割を持つ国道:一方で、一般国道のなかには、バイパスとして自動車専用道路(信号がなく高速走行できる道路)として整備されている区間もあります(名阪国道など)。 [1, 2, 3]
これら高速自動車国道と一般国道の自動車専用道路は合わせて「高規格幹線道路」とも呼ばれますが、これらすべてが国道のカテゴリに含まれているわけではありません。 [1, 2, 3]
▼米国のhighwaysも主要な幹線道路のことであり、高速道路も含んでいるが、そうでない場合もあると思うが、どうか?
◆◇おっしゃる通りです。米国の「Highway(ハイウェイ)」もまさにその通りで、高速道路を含んでいますが、そうではない場合も非常に多くあります。 [1, 2]
日本の「国道」と「高速道路」の関係と、米国の道路システムには非常に強い共通点があります。米国における「Highway」の概念と実態は以下の通りです。
1. 「Highway」の本来の意味(=主要な幹線道路)
米国において、法律や行政(連邦高速道路局:FHWA)上の分類での「Highway」は、都市間を結ぶ「主要な公道・幹線道路(Arterial roads)」の総称です。
そのため、信号のない完全な高速道路だけでなく、片側1車線の地方の田舎道や、交差点・信号のある一般道路もすべて「Highway」に含まれます。 [1, 2, 3]
2. 「高速道路ではない」ハイウェイの代表例
米国の象徴でもある「U.S. Highways(全米国道 / 例:ルート66など)」や、各州が管理する「State Highways(州道)」の多くは、まさに高速道路ではないハイウェイの典型です。 [1, 2, 3]
- 街中を通る:町に入ると制限速度が落ち、普通の「市街地の主通り(Main Street)」になります。
- 信号や交差点がある:平面交差があり、信号機で止まる必要があります。
- 対向車線と地続き:中央分離帯がなく、黄色い線が引いてあるだけの片側1車線の道路も無数にあります。 [1, 2, 4, 5]
3. 「高速道路」を意味する正確な単語
米国で「信号や交差点が一切なく、立体交差だけで構成された完全な高速道路(日本の高速道路と同じ概念)」を指す場合は、以下のような明確に区別された単語が使われます。 [1, 2]
Freeway (フリーウェイ) 完全なアクセス制限(出入りがランプのみ)が敷かれた、信号のない高速道路の総称。通常は無料。
Interstate Highway (インターステート) 連邦規格で建設された「州間高速道路網」。青と赤の盾型看板が特徴で、日本の高速自動車国道に最も近い存在。
Expressway (エクスプレスウェイ) 地域によってはFreewayと同義ですが、一部に「信号のある交差点がわずかに含まれる高規格道路」を指す場合もあります。
|
Turnpike / Toll Road (ターンパイク) |
有料の高速道路。 |
まとめ
日常会話でアメリカ人が「I'm on the highway.」と言うとき、それが「信号のない快適な高速道路(Freeway)」を指していることもあれば、「田舎の信号のある一本道(U.S. Highway)」を指していることもあります。 [1]
質問者様のご認識の通り、「ハイウェイは幹線道路全般を指す広い言葉であり、その中に高速道路(Freeway/Interstate)も含まれるが、信号のある一般道路のハイウェイもたくさんある」というのが正確な事実です。 [1, 2, 3]
米国の道路システムについて、さらに興味のあるテーマはありますか?
▼米国では高速道路の有料と無料の割合はどのくらいか。
◆◇米国では、高速道路(主要なアクセス制限付き道路)の約92%〜94%が無料であり、有料の割合はわずか6%〜8%程度しかありません。 [1, 2]
日本は高速道路のほとんどが有料(私有車道や一部のバイパスを除く)ですが、米国は真逆で「原則無料」のシステムが根底にあります。具体的な割合と、その背景は以下の通りです。
1. 州間高速道路(Interstate Highway)の有料・無料割合
米国の高速道路網の核となる「インターステート・ハイウェイ(Interstate Highway System)」における割合は以下の通りです。 [1, 2]
- 無料区間:約 93.8%(約 44,000 マイル以上)
- 有料区間:約 6.2%(約 2,900 マイル) [1]
アメリカの高速道路の9割以上は、最初から最後まで1ドルも払わずに何千キロも走り続けることができます。 [1]
2. 都市高速や州道を含めた「限定アクセス高速道路」全体の割合
インターステート以外の「各州の有料高速道路(ターンパイクなど)」や「都市部のエクスプレスウェイ」など、信号のない高速道路(Limited-access highways)の総総延長(レーンマイル換算)で見ても、割合は以下のようになります。 [1]
- 無料区間:約 91.8%(約 286,500 レーンマイル)
- 有料区間:約 8.2%(約 25,500 レーンマイル) [1]
やはり全体の1割に満たない規模に収まっています。 [1]
3. なぜこれほど無料が多いのか?
- ガソリン税で建設された:
米国のインターステート網は、1956年の法改正により「連邦ガソリン税」を財源(Highway Trust Fund)として国家プロジェクトで建設されました。利用者がその場で払う料金ではなく、あらかじめ全員がガソリン代と一緒に税金を納める仕組みをとったため、無料(Toll-free)が基本となりました。 [1, 2] - 有料道路の「後付け」禁止ルール:
連邦の法律により、すでに税金で建設された既存の無料高速道路の車線を「有料化」することは原則として禁止されています。 [1]
4. 有料道路(Toll Road)はどこにある?
残りの数パーセントの有料道路は、主に以下のような場所に集中しています。
- 歴史ある東海岸・中西部の道路:
1956年に国の無料高速道路網ができる前、すでに各州が自費で建設していた有料道路(ニュージャージーターンパイクやペンシルベニアターンパイクなど)が、そのままシステムに組み込まれた区間です。 [1] - 人口急増地域(フロリダ・テキサスなど):
近年になって急激に交通量が増えた地域では、税金だけでは予算が足りず、民間資金を入れたり独自の有料高速道路(Florida's Turnpikeなど)を新設して賄っています。 [1, 2]
- エクスプレス・レーン(Express Lanes):
最近のトレンドとして、無料高速道路の「一番左側の1〜2車線だけ」を有料の急行レーン(混雑度によって料金が変わるレーン)に改造するケースが増えています。 [1]
西海岸や南部・内陸部の多くの州(約13の州)には、有料の高速道路が一切存在しない地域も広がっています。 [1, 2]
アメリカの道路について、さらに詳しく知りたい情報はありますか?
▼英語のfreeway は語源的に"signal-free way"no (※freewayはsignal-free wayの意味か、という質問をしようとしてこのような尻切れトンボの質問になりましたが、AIは私の質問の意図に正しく答えました。)
◆◇いいえ、語源的には "signal-free way" の省略形ではありません。 [1, 2]
「Freeway」という言葉は、1920年代から1930年代にかけてアメリカの都市計画家・弁護士であったエドワード・M・バセット(Edward M. Bassett)によって考案されました。 [1, 2, 3]
この「Free」という言葉が本来意味していたのは、信号機(Signal-free)のことではなく、以下の2つの「自由(Free)」です。
1. 沿道からのアクセス(出入り)が制限されている「自由」
考案当時のアメリカでは、道路沿いの土地の所有者なら誰でも自分の敷地から直接道路へ車を乗り入れる権利(アクセス権)がありました。しかし、これが渋滞や事故の原因になっていました。
そこでバセットは、沿道の土地から直接出入りできない、立体交差のランプだけから進入できる高規格道路を提案しました。
この「沿道の土地の権利から解放され(Free from abutting rights)、妨げられずに直進できること」が最初の意味です。 [1]
2. あらゆる種類の交通(商業車両)に「自由」に開放されていること
当時、すでにニューヨークなどには景観が良く交差点のない「Parkway(パークウェイ)」という自動車専用道路が存在していました。しかし、パークウェイは主に一般の乗用車(観光・レクリエーション目的)限定であり、トラックなどの商業用車両の通行が禁止されていました。
バセットは、パークウェイの優れた設計思想を取り入れつつ、「商業用トラックなども『自由(Free)』に走れる都市型の幹線道路」として、この新しい道路を「Freeway」と名付けました。 [1, 2]
なぜ「信号がない(Signal-free)」や「無料(Toll-free)」と誤解されるのか?
現代の「Freeway」は、実際に信号が1つもなく(Signal-free)、アメリカの多くの地域で通行料が無料(Toll-free)であるため、後付けの俗説(バクロニム)として「信号がないから/無料だからフリーウェイと言うんだ」と言われるようになりました。 [1, 2, 3, 4]
しかし、言葉の誕生した歴史から見ると、本来は「沿道の土地の利害関係から『自由』であり、トラックの通行も『自由』な道路」という意味が語源です。 [1, 2]
他にも「Parkway(パークウェイ)」や「Turnpike(ターンパイク)」など、アメリカの道路に関する独特な英語の語源や由来で気になるものはありますか?
ご興味があれば、それぞれの言葉の面白い歴史を詳しくお話しできます!
******************************************
以上のようなやり取りがAIと私のあいだで行なわれました。前のブログでは“嘘つきAI”を非難する論調だったのですが、今回AIはほぼ正しい、事実に基づく答を返してくれたと判断しています。
“highway”を「高速道路」と訳し続けるマスコミにあきれると同時に、米国の高速道路の93%ほどが無料であることに驚きました。
当初、日本政府、道路公団は償還の済んだ高速道路から無料化すると言っていたのに、現在それを反故にしてむしろ高速道路の料金を値上げして利用者を“苦しめて”いるように見えます。
高市政権は日本版DOGEの力を活用し、日本の高速道路の料金の無料化(または、低料金化)を実現し、物流コストの引き下げに尽力してほしいものです。問題解決能力のない高級官僚をどこかに天下りさせるのではなく、退職金や年金を“大幅に”増額するなどして、定年後は“引退”する方向に持っていけば日本国民の税金を無駄遣いさせている構造が消滅すると思います。 (2026年7月4日記)
※※コメント欄に字数制限のために書ききれなかった分などを書き加えています。