「犬棒日記」 乃南 アサ
筆者の日常、電車内で、病院で、公園で、タクシーで、喫茶店で、様々な場所で
出会った人や出来事の観察日記。小説家の鋭い視点で分析している。
まあ、心温まる話などは一つもないと言ってよい。我々だって、一たび外に出れば、
とんでもない人を幾らでも目にすることが出来る。それは小説の世界でも何でも
ない、全くの現実なのだから、ため息をつくしかない。
「タルト・タタンの夢」 近藤 史恵
一話完結型の短編集。小さなビストロが舞台で、そこへ訪れる客の抱える問題や
悩み事をシェフが解決していくお話。美味しそうなフランス料理、聞いた事のない
メニューやワインが次から次へと出てきて思わず唾がたまる。
「平凡」 角田 光代
2008年~2013年までに発表された短編が6編。それぞれが結婚にまつわるお話。
これを読んだら、結婚をためらう人がいるかもしれない。幸せな結婚生活なんて一つ
も書いていない。味気ない日常、譲り合って生きる窮屈さ、気持ちのすれ違いなどが
実に生々しく描写されている。地の文もせりふもストーリー展開も、無駄がなく、上手
い作家だなと思う。
「不倫のオーラ」 林 真理子
週刊文春のコラムの一年分である。本当に面白い。この人の私生活は実に刺激的で
有名人はいっぱい出て来るし、グルメ、海外旅行と、普通の人では到底経験できない
あれこれが詰まっている。小説より面白い。巻末に、現在放送中の大河ドラマ「西郷
どん」の脚本を書いている中園ミホ氏との短い対談が載っていて、お得感あり。
「サブマリン」 井坂 幸太郎
心の闇を抱えた人が沢山登場するのだが、何故だかユーモア小説のような印象。
主人公の家庭裁判所調査官とその上司との掛け合いが、まるで漫才かお笑いのボケと
ツッコミみたいだからか。この上司の、いい加減で無遠慮で失礼で無責任で、それでいて
妙に本質を突いているキャラのなせるわざか。面白く読んだ。
「さようなら、オレンジ」 岩城 けい
ストーリーの始まりで、私は舞台は当然日本だと思っていたから、何か変だな、と違和感を
感じた。そのうちに、フォントの違う活字でいきなり手紙文に変わり、話の設定がよく呑み込
めず、ギブアップしようかと思った。著者略歴の部分を先に読んだら「在豪二十年」とあって、
あーこの舞台はオーストラリアなんだ、とやっと分かった。読み進むに従って、オーストラリア
の語学学校に通う様々な女性たちの話、特にアフリカ難民の女性と、日本人の作家の卵の
二人が主人公だという事がやっとわかった。この二人の喜び、悲しみ、頑張りに涙を誘われ
る。とは言え、もっと読者に分かり易く書いてもらいたい。本名とあだ名の使い分けなども紛
らわしい。
「ありがとうって 言えたなら」 瀧波 ユカリ
漫画だけど、心にずっしりと重い内容だった。漫画でよかった。これを文章で書かれたら
辛すぎて読めない。筆者の母上が2014年にすい臓がんが見つかり、2015年に亡くなる
までの家族の奮闘記。これほどまでに子供達に尽くしてもらって、ご母堂は幸せ者だと思う。
かなりの猛女であられたようだが。だんだん弱って、痛みに苦しみ、亡くなるまでの様子は、
やはり癌で死んだ私の母と重なった。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.: プチブライスのボディ交換に関して色々なアドバイス有難うございました。

