「隠蔽捜査7 棲月」 今野 敏
キャリア組の出世コースをはずれて大森署の所長を務めていた竜崎が、大手柄を
土産に神奈川県警の刑事部長として転任することになった。良かった良かった。
登場人物のキャラクターの色分けがはっきりしていて、相変わらず面白い。
「先生・保護者のための スマホ読本」 今津 孝次郎
スマホがあっという間に普及して、便利な反面その危険性がしっかり認識されることなく
子供に与えられようとしている。何といっても、インターネットという底知れぬ世界と繋が
っているということを子供は深く認識していない。これは機器としてのスマホの解説ではなく、
まず子供の発達過程を考慮し、トラブルに巻き込まれないためにどうするかを考える本。
「わかれ」 瀬戸内 寂聴
昔の体験や思い出にまつわるエッセイ、短編小説、ショートショートなど九編を集めた本。
重信房子に面会した様子を綴った一文では、彼女がいかに魅力的な女性かを述べてい
るが、しでかした事件を思えば、瀬戸内さんは常人とは異なった作家としての視点で見て
いると思わざるを得ない。
「窓際のトットちゃん」 黒柳 徹子
大ベストセラーなのに今更という感じだが、実は今まで読んだ事がなかった。発売当時は
子育て真っ最中で本など読む余裕がなかった。改めて読んでみると、これが実体験?!と
驚く意外性に満ちている。戦前にこんな学校があったなんて。このような教育理念の学校は
現代社会では運営が難しいだろう。それから黒柳さんの文体。まるで児童文学作家のような
独特の感性とリズムがある。そして昔の事を良く覚えていることに感心する。
「四十九日のレシピ」 伊吹 有喜 ←ネタバレあり
出だしの4行目ですぐに話に入りこめた。それから最後に、四十九日の大宴会が終わって、
手伝いのイモちゃんとハルミが帰ってしまった後、お父さんが、はたと、あの二人は死んだ
女房と、先妻の生まれなかった2番目の子ではなかったかと考える。あの世から手伝いに
来てくれたのではないかと思いながら川を這いずり回るシーンでは、「本当にそうかもしれ
ない」と読者にも思わせる伏線の数々が思い出されて、涙してしまう。
「メンチカツの丸かじり」 東海林 さだお
シリーズ38冊目。うちにも10冊くらいあるのだが途中から図書館で借りることにした。
くだらないけど面白いシリーズ。筆者は何しろタクアン一切れで2ページ引きずることが
できる筆力の持ち主である。挿絵は本職だから当然面白い。今回一番心に響いたのは、
稲荷ずし。いわく、濡れた着物をだらしなく着て横になっているが、人には好かれている。
(^▽^)東海林さんも高齢となり、この先ちょっと心配。
「正義をふりかざす君へ」 真保 裕一
よく練り上げられたミステリー小説である。7年前に起こった事件が元で主人公が動き出す
のだが、その事件の全貌が折々に少しずつ明らかになっていくのがもどかしい。そして今回
の事件の犯人は誰で、動機は何なのかを探り出す過程はページを繰る手が止まらない。
結末は・・権力を得た男が自分の地位をおびやかす者を排除するためにはどれだけ冷酷に
なるか、そして女の怨念がいかに恐ろしいものか・・・を描いて締めくくっている。



