バレンボイムさん指揮、今年のウィーン•フィルのニューイヤーコンサートをYouTubeで見ました。
個人の置かれた状況、メンタルなど決して芳しくないので済みません、楽しかった、良かった、出色の出来栄えという、特別な印象はなかったものの、抜群の安定感、ウィーン•フィルらしい音色は感じられました。
かつてのウィーン•フィルの音は無くなってしまったと以前こちらで申しましたが、2022年のニューイヤーコンサートではなかなかどうして、バレンボイムさんの力量のなせる術かその音色はとてもウィーンらしい音を聞くことができて嬉しく思います。
ただ、表現の好き嫌いはあります。個人はあまりに楽譜に忠実過ぎて、真面目過ぎるかのような表現が耳について、シュトラウス独特の軽やかさが少し足りなかったようにも思いました。
クライバーさんのような軽やかさ、しなやかさの中に力強さがあるような′89年、′92年の、あるいはプレートルさんの茶目っ気たっぷりだった′08年のニューイヤーコンサートを偲ぶ、あるいは比べるのは愚なことかもしれませんが、時代の変遷を痛感せざるを得ません。
個人がさらに気になるのは、バレンボイムさんのお姿です。歩行には不安はなかったにしても……少し指揮されるお姿にお元気がなく単調で腕が思うように上がっていない、オーケストラに任せている部分が多々あったように思われて気になりました。
片手で指揮されておられる姿が散見され……おや? と思われましたが考え過ぎでしょうか。
こちらのお姿などまるでショルティさんのようです。
「美しき青きドナウ」の前のスピーチにしても随分お年を召されたという印象で大丈夫だろうかと。
音楽そのものも、少しだけ溜め、ゆったりとした部分がありバレンボイムさんの変化(老成)を感じました。
曲目は気にせず聞き流しましたが、「美しき〜」や「天体のワルツ」はなかなか堂々していて素晴らしく聞き応えがありました。
殊に金管楽器、打楽器群が力強く響いてバレンボイムさんが今指揮者の中でも巨匠といわれる立場にあることを改めて知らされ、ウィーン•フィルとの仲も最高に良いことを感じられましたが体調が大丈夫か気になります。
真面目な少しお堅い中に、ウィーン•フィルらしさを感じられた見事なニューイヤーコンサートでした。